キュン死に!!『ラブ★コン』
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大人気だったのになぜか手にしなかったもの、いくつかあるんですけどそのひとつ。中原アヤさんの『ラブ★コン』。「わたしのマーガレット展」で昔の作品も読もうと思ったのも手伝って、一気読みしました。
当時はなんか、この作品のチャームポイントの賑やかさと関西弁だけで、うるさいのかな……?って敬遠してしまった。改めて全部読んでみると全然嫌なうるささじゃないし、むしろこの漫画の新鮮なところなんですけど。気づいたらこっちまで「あー、ええなー!」なんて感想が関西弁になってたりする、ぐいぐい巻き込まれていく作品。
あとはまぁ、わたしが身長150cmしかないから、ヒロインが高身長をコンプレックスに思ってるストーリーに興味が薄かったのかもしれない。笑 でも読んでみたら、別にそこに自分のこととして共感する必要はなくて、外から主人公たちを見て楽しめるし、完璧に同じ境遇ではなくても当たり前に「わかる!」って思える感情が描かれてたりするんだな、と。食わず嫌いはもったいなかった。「テーマ、身長?」ってあんまり関心が湧かなかった人もぜひ読んでみてください。
一番の魅力はなんといっても、大谷!!
このお話のヒーロー、凸凹漫才コンビの片割れですが、この人がものすごくバランスがいい。
主人公・リサがやじろべえを揺らした結果どんがらがっしゃーん!ってなる感じだとしたら、大谷は嵐でもちゃんと根を張った木みたいなどっしり感というか、安心感というか、それこそバスケでボール取られそうになったときにひょいっと避けるあの身体の動きみたいな、すいすい乗りこえてく身のこなしを感じます。
黒パーカーはずるい……!リサと大谷のニコって顔はすごく魅力的(13巻157ページ/9巻51ページ)
この表情がかなり好き(11巻147ページ)
背は低いけど顔は時々「あっ」て目に留まる整い方してたり(まあ漫画だからかもだけれど、別にいつも全員イケメンってわけじゃない)、
アホばっかやれるけど根は真面目でリサの家にちゃんと挨拶に行き直すことを当たり前に思ってたり、
勉強はできないけどバスケは得意だしいざというときに頑張れるし、
なんでも出来る人よりよっぽど完璧なバランスで良い、かっこいい。散々バカにしたと思ったらきゅんとさせてくるのほんとにずるい。
バスケって無条件にかっこいい。腕とかは男の子らしかったり(15巻175ページ/84ページ)
思いがけないタイミングで手をとってくれたり(14巻144ページ)
「小ささ」はコンプレックスのはずなのに、それがバランスの良さをつくりだしてて、むしろ魅力のひとつになっています。だから、すらっとしたイケメンにきゅんとしがちなリサが戸惑いながら大谷を好きになっていくのが、本当に身近に感じる。友達としてふたりを見てるみたい。
主人公のリサは、明るく笑ってるのを見るとこっちまで嬉しくなるような、おっきなパワーの人。背が高くてすらっとしてるから大人っぽくも見えがちだけど、中身はものすごく等身大、じゃなくて、高校生らしいです。笑 ただ単に元気はつらつ!って感じではなくて、バカばっかりやってても、自分のふがいなさや失敗に凹んだりするところは意外と弱くて女の子らしい。読めば読むほど色んな表情が見えて、登場人物が分厚く濃くなる。
リサで一番驚いたのはたまに見せる不満だったりバカにしてたりするときの表情。こんなに物理的に可愛くない顔するヒロイン見たことない。笑
これ、例外ではなく頻発だからすごい。笑 好きな人の前でこの顔ができる女の子は最強だと思う(14巻34ページ)
まさに!のぶちゃん、あなたが全面的に正しい。もっと言って!(9巻94ページ)
そんな二人の息はぴったり。
楽しい!って思うものがおんなじで、テンションがあがるポイントもはしゃぎかたもそっくりで、実はこれほどラッキーなことってない。正直めちゃくちゃうらやましい……! かっこいいとか美人とか、脚が長いとか巨乳とか、そういうものって意外といくらでも身近にあるけど、「自分とぴったり」ってなかなか出会えない。リサと大谷は、お互いの「タイプ」こそ全然違ったけれど、お互いだから好きになっていく。一緒にいるのが絶対幸せでしょ!って思えるシーン満載で、それはまさに少女漫画を読むときに求めてる幸福感で、何度同じような掛け合いがあってもいい。だって「いつも」が一番しあわせだもん。
同じものを見てよく一緒にきらきら〜って顔してるのすごくかわいい(8巻21ページ)
憎まれ口の掛け合い、仲良し(13巻45ページ)
ふたりだけじゃなくて、登場人物みんなノリがよくて仲良しで面白いです。リサと大谷がふざけてるのにつっこんだりアホなノリにつきあったり。特に仲良しカップルのぶちゃんと中尾っちがとても素敵。
(15巻54ページ/14巻95ページ)
このカップルはこのカップルで、リサと大谷とはちがう「合う」の結果一緒にいるのがにじみ出ていて、なんだかとってもほっとします。中尾っちののんびり感とか優しさとかが、現実にもこういうじんわりした魅力の人たくさんいるよねって思わせる感じ。つかみどころとしては濃いキャラクターじゃなくても、岐路に立たされたら絶対自分より相手を優先するとか、のぶちゃんや友達に囲まれてるときに描かれてる立ち振る舞いのひとつひとつの積み重ねで人間性が伝わって、彼のことが大好きになります。リサとやりとりしてると姉御肌な印象ののぶちゃんが中尾っちの前だけでは表情が違って、彼の魅力をちゃんとわかっているのが伝わってくる。
(11巻69ページ)
一番好きなのは、15巻で南の島に行くエピソード。女3人/男3人の2部屋に分かれるのかと思っていたら、まさかの大谷と同室で宿泊という展開になって、リサはかなりテンパります。「カップル3組で来ててなんでそんなことせなあかんの」的なことをさらっとのぶちゃんに言われて、さらに「ハレンチ列車はもう走り出しとんのや!!ポッポー!!」という名言まで繰り出される。笑
そうだよね付き合ってるんだし、と一度は大谷と部屋に入るものの、やたら相手の動きひとつひとつに緊張して、ちょっと触れただけで突き飛ばしたり、なんかこわくて足が動かなくなったりしちゃう。好きだけど、一緒にいたくないってわけじゃないんだけど、でも……って整理できてないうちに、大谷とちょっと気まずくなるわけですが、ハレンチ列車のことを考えてなかったリサの気持ちはわかるなーと。当然のように顔赤くして照れて「すごく幸せ」みたいに言ってその場面をふんわり通過する少女漫画も多いけれど、普通は結構戸惑うよね、ってところを描いてて、ものすごく初々しくて良かった。大谷がちゃんと気を遣うところも心折れるところもあって男女のお互いの都合が出てくるのとてもいい。一切無理強いしたり急いたりしてない大谷、実はすごくイケメンなんだぞ!!って心のなかでリサに叫びながら、このエピソードの終わり方がまたすごく素敵できゅんとしました。
ところで、「キュン死に」ってこの作品が元で出来た言葉なんですね。
『ラブ★コン』読んだことなかったけど知ってるし当たり前のように使うし、むしろそんな最近の言葉だったの!?っていう感じだったので驚いた。もう今や少女漫画界には当たり前のように浸透して通じる言葉で、それだけのパワーとブームがあったんだなーと思うと、しみじみ納得してしまいます。トータル5年分もの連載の長さで、付き合うまでに7巻もかかっていて、でも全然飽きないでいつでも楽しい気持ちにさせてくれる。全然色褪せてなくてすごかった。大谷とリサは、今でもずっと仲良くやっていそう。ふたりが本当に大人になっていったらどうなるのか、また読んでみたいなぁ。イラストBOOKとかも出てたみたいだから、そういうのも電子化されたら読みます。
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中原アヤ先生、今は『ダメな私に恋してください』を連載中。こっちもはやく読みたい。まだまだ面白いものがあるんだってことがいちばん幸せにしてくれる。
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