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物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

恋を知る、『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』

今日の14時の回、ヒューマントラストシネマ渋谷で、映画『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』を見てきました。NARUTOはここ数年追いかけられてなかったから本当は行く予定なかったのだけど、スキマスイッチ好きの友人に誘われて、せっかくなので、ということで。

本編の完結を見届けられてないせいで「知らないことばっかだったわ!」ってなるともったいなさ過ぎるから、年末年始実家に帰ったときにジャンプを読んでた弟をつかまえて「さあ姉さんに要点だけ説明したまえ」と要求するという乱暴な理解で向かいました。この映画は、様々な戦いが終わった699話と、最終回であり後日談の700話の間の“空白の時”のストーリーで、ナルトとヒナタが夫婦になる(700話で判明済)までの物語。これを知っていれば、あとは基本的な登場人物さえ分かればそのまま問題なく楽しめました。コミックス派の人も安心して行ける。


「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」予告 - YouTube

 

ひとことで言うと、岸本斉史さんのナルトへの愛をものすごくまっすぐに感じた。なんかもう、それがすべてだった。

オリジナルストーリーで作られる映画って、大抵原作どっぷり読んでる人なら「違和感……」ってなるシーンや台詞が入ってたりするけれど、今回は岸本先生がストーリー総監修ということもあって、それがすごく少なかった印象。恋愛をテーマにしているから「少女漫画か!」みたいなレビューもあって、どうなんだ……とちょっとどきどきしていたんだけど、割と落ち着いて見ていられました。わたしが恋愛漫画読み慣れてるせいもあると思うけど、それでも歯が浮くものは浮くし恥ずかしくなるものはなるから、そういうものと比較すると、アクションとか他の成分もしっかりあって程よい濃淡でした。映画だから詰め込み感は多少あったものの、まとまりも良かった。

恋愛成分に恥ずかしくなるかどうかというところで言うと、ああやっぱりすごいなあと思ったのはナルト役の竹内順子さん。竹内さんだから浮かなかった台詞がたくさんある。気合を入れる言葉も、告白も、言い方次第でかなり変わるものだと思うけど、その塩梅が絶妙で聞き惚れてしまいました。

すごかったのは、アクションの画面の切り取りの面白さと、場面の転換。過去のシーンや記憶の中を飛び交ったり、色んな人の場面を切り替えて映したりしてるのに、全然分かりにくくなくて、変な間もなくて、一緒にいろんな時代のNARUTOに記憶を飛び移らせてるような気がした。「現在」のナルトと、子どものときのナルトが交互だったり一緒だったりで出てきて、なんだか久々に見た気がする子ども時代の絵が、「あぁそうだナルトってこうだった」って思わせてくれて、しみじみ、成長したんだなあ、って。

 

なんで最後に恋愛……って思う人も、もしかしたら多かったのかもと思うのだけど。わたしは今回映画を見て、ナルトもみんなも成長した姿だったなぁ、青年だったなぁ、って思ったら、岸本さんの舞台挨拶での「ナルトの最後の成長は恋愛」*1 っていう言葉がものすごくすとんと入ってくる気がしました。だってあんなに子どもだったのに、ここまで大人になった。その成長の過程に恋を知ることはすごく自然なことだなあって。
勇気とか友情とかバトルとか、もちろん少年漫画だとそういうものがメインのテーマになってくるのかもしれないけれど、ここまで壮大に歴史とか家族愛とかを含めて描ききって、ひとりの人が成長する過程を描いて、恋愛だけを避けて通ることのほうが、むしろ不思議ですらある。なんだよ最後にそれかよ!って思う人も多分求めているもの次第ではいると思うんだけど、わたしはこの映画でしっかりそこに触れたのが、とてもいいなあと思いました。
岸本先生が、ナルトに色んなことを経験させたかったことが分かる気がする。どんな大人になってほしいとか、どんなふうに子どもと接してほしいとか、たくさんは描いてない部分まで大事に思ってることがまっすぐに伝わってくる気がする。ナルトは愛を知らない子として描かれ始めたけど、岸本さんには最初から最後まで大事にされてたなぁ、と思う作品でした。

個人的には、『NARUTO』ってすごく「涙」のイメージなんです、慟哭してるみたいな。それが、今回の映画には涙がなくて。怒りもなくて。大人なんだなぁ平和なんだなぁって。戦乱の世だからこそ見られる愛もあるだろうけど、平和だからこそ大事にできるものもある。そこまで辿り着いたのか、と思ったら戦ってるシーンたくさんだったのにほっとした、不思議な安心感のある2時間でした。

 

自然と作品全体のこれまでのことを思い返していて、あー青春を思い出すなー、と。わたしにとって『NARUTO』って作品自体が、小学校6年生のときに出会って、少年漫画の象徴のひとつで、アニメ化発表の号のジャンプを必死でコンビニに見に行ったりして、大好きな竹内順子さんならぴったりなのにって思っていたらそうなってて飛び上がって喜んだりして、色んなキャラクターを好きになったりむかついたりして、まさに一番いい時期に一緒に育ったみたいな、そんな作品だったから。映画の中でサクラが「しゃーんなろー!!」って言ったとき懐かしすぎて、思わず笑ってしまった。

だから、新たな運命的なシーンが追加されるわけじゃなくて、「思い出す」っていう認識過程でナルトがヒナタを好きになるのがとてもよかった。あくまで原作と地続きな、とても丁寧に作られた行間みたいなエピソード。ところどころ、あぁやっぱりそういう台詞入っちゃうよね!?とか、あぁやっぱりそういうシーン入っちゃうよね!?とか(最後とか…)、ベタが恥ずかしく思えるシーンもあったけど、わたしは結構、好きだったし、見に行ってよかったなあ。

でも恋愛関係って、どのキャラクターを好きかってだけで応援度合いや賛否が変わっちゃったりするから、そこは難しいだろうな。わたしはヒナタ大好きだったので、ものすごく万々歳な結末だしそれだけで2時間楽しく見られる要素になったけど、「なんでそうなった!?」って納得感がない人にとっては全然感じ方が違ったはず。個人的には、いちばん好きなシカマルの登場頻度も高くてとってもお得でした。

オープニングの和風な絵に合わせられたグリーンスリーブスとか、ヒナタの家のデザインがものすごく素敵だとか、団らんの場面がほっこりするとか笑えるとか、細かなひとつひとつも良かった。そしてスキマスイッチの歌う『星のうつわ』が、見る前から思ってたのに見てなお『NARUTO』にぴったりすぎて。歌詞もメロディも。
そう、それこそこの曲は、なぜか幸せで強いナルトと一緒に、泣いてる幼いナルトを思い出すような。涙が音もなく、あるいは伴奏の後ろで聞こえないほど大きな音で流れていそうな、力強さと悲しいような切なさを思わせる曲で。でも、映画のエンディングで合わせられた絵は、線とベタでシルエットのように描かれたナルトとヒナタの結婚式だった。幸せな場面のカットなのにどこか複雑な背景を思わせる色使いで。その見せ方があまりにもおしゃれで見入ってしまった。

星のうつわ スキマスイッチ - 歌詞タイム


スキマスイッチ / 星のうつわ (Short Edit Ver.) - YouTube

 

恋愛要素は賛否両論出やすいところだと思うけど、「今回の映画はぶっちゃけ恋愛です!」に抵抗ないファンなら見て損はない気がする。本編より壮大じゃないかと思える空間が舞台だけど笑、アクションも楽しく見られます。公開中。


今日も渋谷では限定の入場者特典『秘伝・列の書』ももらえました。袋とじまである豪華仕様。まだの人はぜひ。

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原作のほうも、弟が買い残していた65巻以降をクリスマスプレゼントとして献上した代わりに全巻貸してもらえることになったから、これから読み返していく。ちょうど最終巻発売に追いつきそうでうれしい。

それから、普段ノベライズって全く読まないんですが、これはちょっと気になる。脚本の方が書かれているもので、映画でかなり省略されているところもあるみたいなので、一回読んでみたい。岸本先生も今回の映画を番外編的に漫画化してくれたらいいのになー!なんて思いつつ……

THE LAST -NARUTO THE MOVIE- (JUMP j BOOKS)

THE LAST -NARUTO THE MOVIE- (JUMP j BOOKS)

 

 

それにしてもNARUTOは、愛されてるなあー、と思う取り組みがたくさんですごい。ダイジェストで振り返れるページがものすごくおしゃれな以下のサイトとか、


今度行われる展覧会とか、大規模でみんなかっこいい作り。


東京は4月25日から。これも行く。スケールの大きい作品の展示はいつもかなり面白いから楽しみです。