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物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

『新潮』ならではの新たな読者獲得の方法を提案せよ

新潮 2015年 07 月号 [雑誌]

編集スパルタ塾課題4回目。

今回の課題は、文芸誌『新潮』の編集長・矢野さんからの、

【課題】「『新潮』ならではの新たな読者獲得の方法を提案せよ」

別の角度で言い換えれば、《「文学は好きだけど、文芸誌は縁遠い」という人を読者に取り込む方法を提案して欲しい。特集などの誌面提案のみならず、SNS活用や実地イベントなどを活用した提案を歓迎する》。その提案を通じて、《ネット時代の新しい文芸誌読者》像が見えたら、と思います。

というもの。

これはもはや編集塾というよりは販促であり宣伝に思えて、普段販促の立場で書籍に関わっている身として、勝手に少しがっかりして課題に最初向き合えなかった。今の仕事が面白くなくて編集になりたいと思っているから。

でも、何百と流れてくる「商品」を扱う感覚になってしまった仕事より、別に愛して尊敬できる本ばかりを扱うわけではない日常より、“良いと信じて売る”に近い感覚でやってみることができるなら、そして「売る」「広める」にももっと自由度があってクリエイティビティを発揮できるなら、本気で商品と対話したいなと思えた。

そう思わせてくれたのは『新潮』そのもので、あんなに文字いっぱいの難しそうな紙面なのに、どこか一文を身体に入れて読み始めるとあっという間にのめり込んでいる自分がいて、この雑誌に敬意を払う売り方を、そしてそれを作っている「編集」が実行するからこそ説得力があるものを作ろうと思った。仕事での販促の立場ではここまで思い切った大掛かりなことは提案できないよね、というところまで遠く遠く飛ぶように。

 

 

今回、『BRUTUS』回に続き、矢野さんからのゲスト賞をいただくことができた。
発表順はなんと1番だったし、全然自信はなかったのだけど、「文字であることからスタートしているのが素晴らしい」と言っていただけて、それがすごくすごく嬉しかった。わたしが文芸、小説そのものを小さいころから長年愛して愛して尊敬してきたことが、本気で「文字だけでこんなに表現ができるなんてすごい」と思っていることが伝わったというだけで充分だと思った。

最後の講評でも、「今日聞いたことはほとんど考えたことはあるけれど、やれてないことばかりだった。その上で、自分が何をやっているのか、文字と文なんだ。何をして何をしないかの原理になっているのはそこなんです。あるのは、すごい文を売っているんだというプライド。自分の原点」と仰っていて、これがこれ以上ない褒め言葉だった。

2回目と3回目のゲスト回はプレゼンすらできなかったから「わぁすごいまぐれだった」と思って焦っていたけど、愛情と熱量を忘れないところからスタートすればいいのかな、と思えてちょっと安心した。そして見事に本や雑誌、出版界隈、フィクションに近いテーマで成績が良くて笑えたし嬉しかった。前回も思ったけど、この道にまだいていいんだな。

 

今回は中身を詰めるときに、仕事と学生時代のアンテナと、両方にお世話になった。編集と販促と宣伝と広告と…と、みんなで顔を突き合わせて大きな増売を狙う会議を思い出して、商品だけが良くてもだめ、web施策だけでは上限がある、イベントは広がらないと意味がない、そのときに商品が少しでも手に取りやすいように、と自然に多角的に狙えたのは仕事のおかげだと思うし、その中身でメディアアートとか21_21とかgifteeとかが出てきたのは学生時代の学びとそこでもらったアンテナとお世話になってる人たちのおかげだった。

『新潮』は感動するほど面白かった。実は本誌は初めて読んだのだけど、手にとってしまえば全然とっつきにくくなかったし、ライトで読みやすいとされているものよりもむしろ読みやすいと思った。上質だから、一文ずつ栄養になっていって、きちんと「文学」の面白さが伝わる。美しさがわかる。普段なら課題で終わりでもよかったのだけど、ちょうど塾の日に発売された最新号も面白そうで、この後読もうと思っている。

新潮 2015年 08 月号 [雑誌]

新潮 2015年 08 月号 [雑誌]

 

休みなくやってくる次の課題は週刊誌。課題となっている週刊文春の少年Aの手記の号を読んで捨てた日に課題が出て悔しくなったけど最新号をまた買った。 頑張ろう。