思想的批判的にアクチュアルな問題意識を忍び込ませる観光ガイドを企画せよ/半期が終わりました
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9月8日は、編集スパルタ塾の日で、思想家・東浩紀さんがゲストの回でした。課題は以下。
【課題】
「『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』( ゲンロン)を参考にして、ダークツーリズムとは限らなくていいので、○○ツーリズムと課題を設定し、一般のガイドブックかのような外見を取りながら、思想的批評的にアクチュアルな問題意識をウイルスのように購読者に忍び込ませる観光ガイドを作ることを企画せよ」
これまでの課題よりもかなり強烈で、最初の一瞬固まりました。噛み砕けば強烈さは薄れたにも関わらず、考えても考えても今までで一番どうにもならないと思った回で、本当にどうにもならなかった。
もう何かというと、その後のアイデアのひねりとか人選とかの細部は置いておいて、まず「アクチュアルな問題意識」が自分の中にないと、全く何も出てこない、という、本当に、ただそれに尽きて。今のこの日本において最も危機的にセンセーショナルな話題である東日本大震災を思わせるテーマを扱ったものが例に挙げられてしまっているわけで、これ以上のものなんてあるのだろうか、ということがとにかく思いつかなかった。
究極的には自分の生きている半径数メートルが快適であることにしか自分は興味がないんだなということを死ぬほど思い知らされた。例えば日韓の問題がある、領土もなんか問題がある、オリンピックも騒がれてる、そういうことの中身をきちんと人に説明できるほど知っているわけではなく、そしてさして興味もないということがものすごく致命的だった。
その焦りはなんとか知っているニュースから具体案まで詰めようと思った時、さらに深くなった。例えば中国の爆買いを扱う。中国って実際、そんなに買い物しづらいところなの?じゃあ、中国の買い物案内なんてどうか。実際中国で買い物してみたら、日本で爆買いする理由が体感できるかも。とか、そんなものを考えて、ガイドにするには知識が足りないことに気づく。中国関係に詳しい著者を一人も知らない。中国で買い物するのにいい街も知らない。まあ、今思えば実際に提出したものよりもこっちのほうがまともなアイデアな気がするけれど、とにかく、テーマを一度決めたつもりになってもその先が行き止まりで一歩も進まなかった。中国を他の国に変えてみても。
結局行ったことがあるか、行ったことがなくても自分で選んで見聞きしたものしか語れない、だから圧倒的にインプットが足りていないし、日常で得るものを選り好みしすぎだし、得意分野が偏りすぎてる、それを実感しただけで、でも、ある意味ものすごく大きいものを得たと思った。めちゃくちゃ疲れたし今までで一番自信がなかったし発表しなくていいと分かったとき盛大にホッとしてしまった。ダメすぎる。
他の方は、LGBTとか、差別とか、アイドル文化とか、いろんなものを扱っていて、必ずしも政治経済やお堅い話を良く知っていなくても工夫の余地があったことは分かったけれど、優勝した人の出した企画の中身はきちんと写真家や著者がそこにぴったりな人で埋められているのがわかって、それが「ネットで調べたら出てきたんで」みたいな感じではなくて、わたしはほとんどの人を知らなくて、だからやっぱり、もっと勉強しないといけないと思った。
世の中は興味のないことだらけだけど、自分の好きなものしか見ていないと、いつも同じになってしまうし、広がっていかないし、何より、他の人の話やその良さがわからない。誰かの良いアイデアの良さがわからないのは本当に困る。
この回から、後期から入ったメンバーが来ていて、4名は発表もしていて、これはまずいな!と思った。なんとなく慣れが出てきてたから、もう一度気を引き締めないといけない。
そして29日は、ちょうど半分が終わって、半期の成績上位5名が発表された。わたしは5位だった。正直めちゃくちゃショックだった! 優勝が一番多くても、コンスタントに発表できている人に負けてるから。わたしのこれまでの戦歴は○××○△○×で、△はともかく×が足を引っ張っているのかと思うと、精度を上げないといけないなと思った。たまにホームランと毎回ヒットじゃ結局ヒット出せる人のほうが役に立つってことは往々にしてあるだろうし。あと半年。あっという間だろうけど、頑張ろう。
チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1
- 作者: 津田大介,開沼博,速水健朗,井出明
- 出版社/メーカー: ゲンロン
- 発売日: 2014/01/23
- メディア: Kindle版
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