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豪快で繊細でラブリーな恋、『ピース オブ ケイク』

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ピースオブケイク(1) (FEEL COMICS) f:id:le_beaujapon:20151010092312j:plain

映画『ピース オブ ケイク』を見てきました。滑り込みで。
めちゃくちゃ良かった!!めちゃくちゃ良かった!!!!
……めちゃくちゃ良かった!!!!!!

原作漫画のほうの記事書いてから見に行きたいな〜、とか思っていたらもう公開終了ということで慌てて(結局書けないまま)行ったんですが、こんなにいいならもっとはやく見ればよかった! そしたら公開中におすすめできたのに。

DVDでも見てほしい、まだ近くでやってるならぜひ行ってほしい、これまで見た漫画原作恋愛モノの中で最も好きな作品になりました。

 

キャッチコピーとなってる、「大キライなのに、大好き。」も、「本気の恋がしたくなるラブストーリー!」も、決して嘘じゃないんですけど、こうやって冠としてつけられるといきなり陳腐になるような、すごく難しいところが恋愛モノにはある気がして、「またなんか好きになって色々あってけどハッピーみたいなやつでしょ」って斜に構えちゃうと、みんな同じになっちゃうというか。この作品も、王道だし、縮めれば縮めるほど普通そうに見えちゃうんですけど、でも、全然違うのです、その中身が。

だから、キャッチコピーより、予告編より、圧倒的に本編がいい。その細かな部分まで見て、初めて面白い恋愛モノは「いいな〜!」ってなると思うから、キャッチも予告もピンとこなくても、本編まで見てほしい作品です。

 

個人的には、ひとことで言うなら「ラブリー!」でした。スイーツな感じじゃなくて、シャウトな感じの。短い言葉を畳み掛けて叫んで褒め称えたくなる。
最高かよ!ラブリーかよ!
そもそも綾野剛さん多部未華子ちゃん松坂桃李さん菅田将暉くんって好きすぎるよ!!
ちょーーー色んなディテールが入ってる原作がほんとにすっきりまとまっててすごかったし、
でも同時に、映画の3倍くらいある原作の細部がめちゃくちゃ好きだから映画しか見てない人原作読んで!! すごいから! 絶対原作好きだから! ってなった。

 

志乃の若干ケバい外見と多部未華子ちゃんは似てなくない? と見る前は思ったけど、見始めたら外見が似てる必要はなかったなって思わされたし、映画の中の志乃は、細いなぁとか肌がいいなとか、存在が女の子として魅力的で、いるだけで好きになる可愛さだった。叫んだり泣いたり沈んだり忙しい志乃の本気さがすごく伝わる。

綾野剛さんは笑い方がヒゲ店そのまんまだし表情がめちゃくちゃ似ていて、甘えるとことかしょーもない感じとかそれなのになんか愛着湧いちゃう感じとか、空気感がヒゲ店すぎて、めちゃくちゃかっこよくてどうしよう! と思った。漫画のヒゲ店に比べるとガキっぽさが少ない分かっこいい。綾野剛さんは無表情な役も多いから、こんな顔するんだ、っていうときめきがすごかった。

原作にあるあかりさんの過去のエピソードが映画ではまるっと省略されているのだけど、そこが省略されてても、光宗薫さんからは図太くて病んでる存在感が出ていて、薄暗いところで足掻いてる感じが瞬間で出せるってすごいなと思ったし、
川谷くんのぶっ飛んだ感じとか原作の終盤のサイテーなところ(笑)もカットで映画では主役2人の話に終始しているけど、出てくるシーンだけでも伝わるこーゆー男っているよね感が菅田将暉くんはピカイチでした。こういう軽いタイプの男の子の役が多いけど、出てくるたび別人ですごい。

松坂桃李さんの「オカマの天ちゃん」、すごかった。笑 特に劇団で演技してる時の集中とか発声にドキッとしてしまった。劇中劇だからオカマがさらに別人を演じてる構図になっていて、しっかり下地はオカマだったし、それでいて普段の「天ちゃん」とは声が違って。松坂桃李さん尊敬してしまった。

そして峯田和伸さん演じる千葉さんが。「だいいちいんしょうからっ!」のシーン入れてもらえてすごく嬉しくてニヤニヤしちゃったし、なによりラストシーンの歌が本気で、千葉さんがあんなに本気だから、あのシーンで泣きそうになって。

はーーーよかった!! よすぎた!! 下北とか新宿とか知ってるところがたくさん出てきたのもよかったし、メイキングが見たいからDVD出たらぜひ見たい。


映画『ピース オブ ケイク』予告編 - YouTube

 

実はこの作品が一番他の恋愛モノと違うところは、「あかりさんの本」の存在だと思うんですけど、映画ではそれが生まれるまでの過去の物語が語られていなくて。それによってあかりさんの「行動の理由」や「感情」の配分が低くなって、終始、主役ふたりにフォーカスして作られてるんですよね。時系列を若干入れ替えることで、すっきりしてるんですけど、原作の魅力は、その「あかりさん側」を見られるところにもあります。

実は原作は、最初わからなかったんです、良さが。3巻くらいまで。
なぜかって、わたしの周りでは、アルバイト生活してる友達はいないし、志乃みたいにふらふらしてる子もいないし。みんなOLでバリバリ働いてるか、結婚を目指してるし。25歳の等身大の、って言われても、なんだか別世界……と思ってたんです。
でも、4巻の頭から始まるあかりさんの過去と小説のところがめちゃくちゃ面白くて、その小説によって物語が動きだした後は一気に読んで、ラストがほんとに好きで。 なんか妙に後半面白かった……ってなってもう一回読んだら、1度目よりもずっと、ひとつひとつのセリフが入ってくるようになって、なんだか2回読んでも他の作品に行けなくてずっと頭にあって、3回、4回って読んで。 鋭い言葉と、ラストと、映画合わせで出された番外編の志乃&京志郎編がめちゃくちゃ好きで。好きなシーンだけ読んだりして。そしたら気づいたらめちゃくちゃ好きになってて。なんだか不思議なハマりかたでした。

ピースオブケイク(1) (FEEL COMICS)
 

恋愛モノは特に細部が肝なんだな、とこれほど感じる作品もないなぁと。
紆余曲折あるわけだけど、描かれてることは「人を好きってことを上手くできない自分と相手とどう付き合うか」っていうそれだけで、そんな単純なことでも難しかったり嬉しかったりして、その細かい感情の変化が描き込まれていればいるほど、面白い。ジョージさんはそこがすごい。

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1巻85ページ/2巻34ページ

何気ない一言や表情に戸惑ったり、好きな人が同じものを好きだった偶然が最高に嬉しかったり、

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2巻164ページ/3巻209ページ

自分から新しい恋愛に踏み切った事実ができる覚悟がないことを指摘したり、劇中の台詞が妙に刺さったり。

すべての台詞とモノローグと場面の切り取りが繊細で、色鮮やか。細かいエピソードや視点が積み重なって連なって、大きな変化になるのを、未読の方はぜひ読んでみてください。番外編も本当におすすめ! 原作のジョージさんと監督の田口さんの対談も収録されています。箔押しが美しい装丁なので、紙の本もおすすめです。