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物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

彼女たちは美しい/『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を見た

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映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』特設サイト

 

ドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を見てきた。もうほとんどの映画館が公開終了した後で、人のまばらなヒューマントラストシネマ渋谷にて。

作中に出てきたOK GoのセリフがPerfumeというものの全てを的確に表していたと思う。

はじめはポップスだと思っていても、すぐに彼女たちの音楽はアートだと分かる。
Perfumeは芸術なんだ。

芸術、なんて言ったらお高くとまっていると思われるかもしれない。つい先日もアイドル好きの友人が 「私が好きなこの人たちは特別、ほかのグループとは違う」ってファンが思っているのが嫌い、と言っていて、なるほどそう思われるのも仕方がないのかもしれない、と思ったばかりだった。他と比べてどうだという気は全くないけれど、確かにわたしもPerfumeのことをすごいと思ってるし、特別だと思っている。

この映画を見ながら、わたしのなかのカテゴリはやっぱり「アイドル」とはちょっと違って、むしろ羽生結弦さんを見ているときの気持ちに近いな、と思った。羽生結弦さんの演技が美しいように、練りに練られた漫才が美しいように、優れた小説に連ねられた文章が美しいように、彼女たちは美しい。その美しさの裏には真面目な努力があって、それはとても地道で、ひたむきで、それから、挑戦し続けている。だからわたしたちは、「次は何が見られるんだろう」と思って期待して彼女たちを見つめるし、あ〜ちゃんの言葉は「まだまだやりたいことがあるし、見せたい景色もあるし、うちらが見たい景色もあるから」になるんだと思う。

 

台湾で終演後にお客さんがみんなでHold your handを熱唱していたシーンや、寒いのに朝や前日から並んでいるお客さん、「待ってたの!」という興奮したインタビューのシーンなんかに、最初はめちゃくちゃ感動した。きっとこれは3人は嬉しかっただろうな、ということをずっと想像してしまって、こっちまで嬉しくなる。長蛇の列の早送りのシーンは、スタッフさんはわたしたちより3人に見せたかったんじゃないかと思った。喜ばせたい、はしゃいでほしい、そう思わせてくるチャーミングさ、一生懸命さが確実にPerfumeの魅力のひとつで、応援するような気持ちで見ていた――中に、ガツンと衝撃を受けた場面がひとつあって、それがわたしの中で最も印象に残ったシーンになった。

一番緊張感のあったLA公演。映像からでも伝わるあまりにも大きな熱気に、メンバーは終演後の楽屋でも興奮冷めやらぬ感じで、そんななかであ〜ちゃんが本当にさらっと言った言葉が、「日本よりアツいよ!」だった。これにはびっくりして、一気に脳内がシャキッとした。だってわたしのイメージの中では、2013年の年末のドームツアー、3人は涙を浮かべながら「日本がホームです」と言ってて、具体的に辛いとかそういう言葉はなかったけれど、あぁ挑戦は大変だししんどいこともあるんだな、と思ったのがとても印象的だったから。

そのとき日本のファンの中には、世界に行っちゃって寂しい人も少なからずいたはずで、「だよね!」「Perfumeは日本でのライブを大事にしてくれるから大丈夫」って一同ほっとした、みたいな部分があった気がして、それが、これはひっくり返るかもしれないぞ、その可能性は十分あるんだ、と一瞬で理解することになった。これで3人が日本をないがしろにするという意味ではなくて、きっと日本のことを3人は変わらずホームだと思ってくれるだろうけど、「やっぱりアメリカのほうが盛り上がるよね!」っていう感想がベースになってくる日が来てもおかしくないんだ、と思った。

別に全てのプロジェクトが海外進出=進歩というわけではないだろうけど、より多くの人に見てもらう、好きになってもらう、と思うとどうしても対象の人口が増えていく。文化も言語も違う人に通じるということは母国で好きになってもらう以上のハードルがあるのは確実で、それはより「すごいこと」になっていく。さらに、専門家や評価の土壌自体も海外のほうが豊かなことも多かったりする。スポーツ選手が拠点を移すように。強力なスタッフが加わってプロジェクトとして成長し続けているのという面もPerfumeにはあって、こうなってくると、 「認められる」こと(最新技術や衣装や演出)は海外でお披露目、日本はバラエティ色強めに楽しく、でもよくなってくるのかもしれない。先日行われた「LIVE 3:5:6:9」はもちろんめちゃくちゃ楽しくて幸せな時間だったけど、サイコロで曲を選ぶという演出で、ホームだからこそ、MCたくさんできるからこそ生きるもので、バラエティ色強めだな〜! と思ったことを思い出した。

3人は間違いなくプロだ。過去のツアーでは戸惑いもしんどさも感じられた「海外」を、強い意志で楽しんでいるように見えた。MCのシーンで初めて、映画のタイトル「WE ARE」が「3人合わせて〜」に当てはめて使われていることに気づいた。日本では可愛い身近に感じられる自己紹介が、めちゃくちゃかっこよくなっていた。
Perfumeはこれからどうなっていくんだろう。あ〜ちゃんが打ち上げのスピーチで言った次の目標は、おどけながらも18,200人を収容するマディソン・スクエア・ガーデンで、きっとこれもいつか達成されるんだろうと思う。ファンとして、Perfumeを大好きなひとりとして、すっごく、すっごく嬉しい。けれど、日本がもうあまり目標にはなりえないのだとしたら、それもすこし寂しい。なんというか、もちろん人口が限られているから仕方がないものの、日本っていう場所が持っている力が足りないように思えて。帰ってくる場所もいいけれど、成長したらこれがしたい! という場所になれるくらいの何かを持っていたいものだなあ、と思った。そうじゃないと、いい仕事はどんどん外に出て行ってしまう。

仕事として、プロジェクト『Perfume』を尊敬している。あれだけの高レベルで美しいものを作る仕事が死ぬほど羨ましくて、高校生くらいに戻ってやり直せるなら真面目にプログラミングや芸術を勉強して死ぬ気で辿ったのに、と思っていたけれど、それは勘違いだったことが今回わかった。もちろん後からタッグを組んだ人もいるだろうけど、「スタッフさん」の大半は、もうずっと、10年も15年も一緒にやってきた、家族みたいなメンバー。すごい人を集めたんじゃなくて、みんなですごくなったんだと思ったら、こんなにかっこいい仕事はないなと思った。すごいところに入ろうとするんじゃなくて、すごいものを作ろうとするんだなって思ったら、ますます彼女たちみたいな仕事がしてみたくなった。のっちが、「音楽も振り付けも素晴らしいけど、それをわたしが踊っているからかっこいいんだぞと思われたい」と言っていたのがとても印象的だった。そんな風に語る人を前によくならないわけがない。

 

Perfumeは、これからどうなっていくんだろう。あ〜ちゃんが最後に語った目標の二つ目は「結婚」だった。あ〜ちゃんは過去も度々「結婚できるんかな」等の発言をしていて、それがただのおちゃめなジョークではないことがわかる。プロジェクトとしてのPerfumeが大きくなっていくのを見ると、ちょっとだけ不安になる。大人数グループとは違って、誰がひとりが産休になれば、その間はほとんど活動停止になるだろう。彼女たちはめちゃくちゃ輝いているスターだけど、27歳の女性で、きっとこの先、いろんな幸せがある。おばあちゃんになってもテクノポップもかっこいいかもしれないし、母親になったりもするかもしれない。あ〜ちゃんは「求められる限り応えたい」と言い、ゆかちゃんは「やる前は辛くても、やってよかった、次もって思ってくれる気持ちが嬉しい」と言った。そんな風に真面目に突き進む彼女たちに、いつでも、一番幸せな道を選んでほしい。3人が幸せじゃないと、意味がないのだ。わたしはまだまだ彼女たちに会いたいけれど、やっぱりそれは、笑顔で幸せなところが一番いい。これからのPerfumeの活躍に期待しつつ、3人の幸せを祈りつつ、まだまだ楽しみたい。


WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT 予告篇

 

主題歌がとてもすき。今のPerfume


[MV] Perfume 「STAR TRAIN」

STAR TRAIN

STAR TRAIN

 

 

今回の映画はまだ商品化してないけど、ツアー自体の映像はこちら。

  

2015年のライブ、「LIVE 3:5:6:9」はそろそろDVD発売だからうれしい。

いつも思うんだけど通常盤の方がパッケージがいい。初回盤買うけど……買うけど……。

 

ほかにも、10周年・15周年イヤーということで、ファンにとってはごほうびたくさんな2015年でした。「LIVE 3:5:6:9」と同時期に開催されていたPerfume展の後半ではメンバーが近寄ってきて至近距離で話しかけてもらえる疑似体験ができてときめきすぎて卒倒するかと思った。

あと、何と言ってもこれ!!

TV Bros.連載『たちまち、語リンピックせん?』が一冊になった書籍、ぶあつくてたっぷり8年分が、すてきなレイアウトでまとめられていて写真も満載でほんとにおすすめ。

2016年もPerfumeの3人が元気に過ごせますように。