物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

「ふたり」ってすごいことだ(アンジャッシュの単独公演DVDを見て)

スポンサーリンク

お笑いが好きだ、

その理由は主にふたつあって、それによって趣味も分かれているのだけれど、そのふたつの理由を両方とも満たすユニットのひとつがアンジャッシュだ。 

ということでアンジャッシュの単独公演DVD、「五月晴れ」を見ました。2011年のもので、なんと単独は8年ぶり。ネタは全部で8本入っていて、その合間に映像がいくつかある感じ。 これがとても面白かった。元々好きなので面白いだろうとは思っていたんですけど、けたけた笑いながら見た。

アンジャッシュ単独公演 「五月晴れ」 [DVD]

アンジャッシュ単独公演 「五月晴れ」 [DVD]

 

8本あるネタのうち、知ってたのがひとつだけあって、それがアンジャッシュのネタの中でわたしが一番すきなものだったので、それだけ貼ってみます。代表的な「すれ違いネタ」とはちょっと違うしかけのものなのだけれど、その台本はもちろん、細かな面白さを出すための表情のつくり方とかがものすごく丁寧。素人にも分かるからすごい。レモン絞る腕を見つめる渡部さんの顔!


お笑い アンジャッシュ 家が燃えています - YouTube

 

もうネタに関しては口で説明することじゃないし、見ていただくのが一番早いので、興味あったらDVDぜひ見てください!という感じなのですが、ここでこのDVD、もうひとつ面白いものがありました。それが副音声。映画で吹き替えを選ぶみたいに副音声つきっていうのが選べて、それで見ると小さな音でネタの映像が流れて、その上に解説の声が乗る。なのでわたしは、最初ふつうにネタを見て、もういちど副音声つきで見ました。

これはものすごい練習したね、とか、このときカンペを用意してて…とか、ライブに行ったとしてもわからないことを喋ってもらえるので、すごく身近な感じで、ライブで照明浴びてるのを物理的なもの以上の距離をもって眺めるのとは全然違う。おまけに、こういう「実はね」みたいな情報って、運良くその話題をバラエティで喋るか、ラジオやってたらそれを聞かないと機会がなかったりするから、 すごくお得感ありました。ファンは絶対うれしい。生で見るのが一番なんじゃないか、ってちょっとDVDの価値疑ってるとこあったんですが、なるほどこれはこれで、ネタでは表情まで見えるし、特典ついてるし、ほかのもどんどん見たくなりました。

それで、副音声なんてものがあると、やっぱりコンビの話にどうしてもなるわけです。直接その話をしなくても、「またあなたは〜!」みたいな会話がある。芸人さんのコンビは、ほっといたら全然生き方同じにならなそうなふたりが同じ生き方を選びながらやっぱり全然違う、みたいなことがよくあって、そこに生まれる変遷とか感情とか、やっぱりずっと「ふたり」だからすごく生々しいものがあって好きなんですが、ここでもそれが少し垣間見えます。

これは何かって言うと、最初の「五月晴れクイズ」ってネタの小道具のディティールについて、児嶋さんは副音声を入れるために映像を見て初めて気づくっていうところがあって。渡部さんが「打ち合わせしたでしょう貴方!」「じゃあ何してたのあの打ち合わせのとき」って。話したじゃん、って。そうすると児嶋さんは「え、喧嘩ですか?」とか言って、結局喧嘩はしないのだけれど、

それ、喧嘩になってもおかしくないですから!!!笑

ずっと連れ添う夫婦もそうだけど、何かがずれていても納得いかなくてもそれでもやっていく認めていく進んでいくってほんとにすごい。

終盤、印象的だった渡部さんの台詞。

児嶋さんやっぱりほんとに、ザ・児嶋の性格が出てる、自分のことなんですよね、まずね。ぼくどっちかというと人のことなんで。「お客さんとか関係者の人に見て欲しい」が一番に来るんで。(略)かっこつけ抜きで。

あああああ渡部さん!!!!

こういう違いって結構一生交わらないんだよなあたぶんと思うのですが、それでも渡部さんは何度も言う。

ちょっと日陰の男みたいな意識あんのよ、日陰のこんな俺でも、あ、ちょっと、お客さんに見てもらえるかもこの時間はみたいな意識が。

今回はほんとに児嶋ライブにしたいなと、僕自身。やっぱり児嶋さんの魅力を満載に詰め込みたいなってほんとにありましたよ。ちょうどこの時期にそれぞれ仕事してることが多かったじゃないですか。だからやっぱりこう、今一度コント人児嶋一哉のすごさを知らしめたい、あまりにも舐められてるから。(略)違うんだと、うちの児嶋は。……

面倒でも遺憾でも不平等でも、それでも一生ものの相方がいるって奇跡だなぁ。 

「ふたり」って、すごいことだ。それをもっと知りたいから、これからもお笑いを見てゆく。