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個人的「 #俺マン2017 」を発表する

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2017年も、漫画を愛する人たちのお祭り「俺マン」が開催されました。その年の自分の「推し漫画」をハッシュタグでつぶやくというもので、楽しすぎる集計結果も公式サイトに出てます。

http://oreman.jp/ranking/oreman2017/

それで個人的に投票したものをまた今年も振り返ろうと思います。今のわたしがお勧めする漫画たち、今年の個人的「俺マン」はこちら!

そしてマイルール1ツイートにしてるので、入れられなかったその他。

今年は昨年と変わらず405冊読んでいたみたいです。読み返しているものは入れてなくて、毎回最新刊を読むときは1つ前の巻から読んでるので(忘れっぽくて前の巻が思い出せない)、延べ数だと1.7倍くらいのはず。

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今年一番印象に残った作品 

毎年、1ツイートに収めて選ぶという意味で、最後3作品くらいはすごく迷うけど、実は「今年はこれ」っていう一番推しの1作は迷ってない気がします。今年は岡田麿里さん原作・絵本奈央さん漫画『荒ぶる季節の乙女どもよ。』。こんな作品は今までなかった。(ちなみにTOPは、2016年『兎が二匹』2015年『応天の門』2014年『神様はじめました』2013年『さよならソルシエ』2012年『ひるなかの流星』)

荒ぶる季節の乙女どもよ。(1) (週刊少年マガジンコミックス) 荒ぶる季節の乙女どもよ。(2) (週刊少年マガジンコミックス) 荒ぶる季節の乙女どもよ。(3) (週刊少年マガジンコミックス)

女の子の「性」にここまで真っ向勝負した作品は初めて見たし、それがものすごくひたむきで切実なのに、いやらしくなく清々しくて、恥ずかしいけど見覚えもある。あっぱれ! という感じのリアルな1作で舌を巻いた。1巻からすごかった。漫画読み以外に勧めるのはちょっとハードルが高いけど、これはフィクションを読むことに慣れてる人にはかなりおすすめ。
誰々と話せて嬉しかった、とか一緒に帰って楽しかった、みたいな恋に、性が混じってくのはいつだっただろう。その出会いはほとんどの人に訪れているわけで、こういう作品がわたしはすごく好き。

2017年登場のフレッシュに驚かされた作品

不滅のあなたへ(1) (週刊少年マガジンコミックス) ランウェイで笑って(1) (週刊少年マガジンコミックス)  とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニングコミックス) 

2017年刊行開始作品は、他にも「この手があったか」みたいな、「待ってました」みたいな、新鮮な驚きに満ちた作品が多かったように思うのだけど、中でもよかったのはこの3つ。『聲の形』の大今良時さんの新作不滅のあなたへ、少年誌でありながらファッションデザインがテーマの『ランウェイで笑って』、魔法正統派ファンタジー『とんがり帽子のアトリエ』
不滅のあなたへ』の感触はすごい。どこにもカテゴライズしづらいというか、「ああいうのね」「あれに似てる」と言いづらい。これだけ作品数が増えている今、類似しない作品はなかなか珍しいと思う。大今さんが前作に続いてすごいということだけがひたすらわかる。主人公のストーリーなのかもわからないような曖昧さで進んで行くのは、むしろ手塚作品とかを思い出す。世界そのものが主人公みたいな。
『ランウェイで笑って』は、不利な状況にいる主人公が自分のコンプレックスを乗り越えたり正しく勇気を出したりして歩んで行く、才能ぶつかる物語で、『四月は君の嘘』を真っ先に思い出した。爽やかさが似てる。ランウェイでは笑っちゃいけないルールがあるって2巻を読んで初めて知ったのだけど、こういう作品はタイトルから圧倒的に劇的だ。
『とんがり帽子のアトリエ』は、ハリーポッター級の正統派魔法ファンタジー。逆にここまで美しい形のファンタジーはむしろ珍しくて、設定や物語の運び、世界観や衣装のデザインの美しさに惚れ惚れしてしまう。

大人の恋、新章/癒しの恋愛もの 

アラサー女子の恋愛もの、人生ものは、FEEL YOUNGやkissを中心にずっと何かしらヒットがあるものだけれど、2017年もとても良い年だった。

私の少年 : 4 【電子コミック限定特典(カラーイラスト)付き】 (アクションコミックス) 恋のツキ(3) (モーニングコミックス) 1122(1) (モーニングコミックス)

思わぬ展開を見せた私の少年。これは2016年も大活躍のヒットだったけれど、2017年も目が離せなかった。高野ひと深さんは傷ついた顔が上手い。それに一緒に傷ついてしまう。お願いだから幸せでいてくれ、と思ってしまうし、この圧倒的な絵の上手さよ……。
前作『あそびあい』が話題だった新田章さんの『恋のツキ』は結婚に悩む全女子の心臓を握りつぶす力を持っている。自分の前で平気でダラダラし、約束を破り、なかなか結婚せず、ちゃんとした生活をしてくれない「彼氏」にやきもきしていると、高校生男子が自分を好きだと言ってくる。そんな辛い設定があるだろうか……。彼氏に丁寧に扱われていないと感じる描写のリアルさがすごい。
そしてこのジャンルの名手渡辺ペコさんの新作『1122』。夫の浮気を容認していた主人公が、少しずつ気持ちに変化を感じていく話。性生活とか、相手との距離感とか、本当に些細なことで変わってしまう。しんどい。風俗店に行こうとするとか、結構他の恋愛もの、結婚ものとは違う新たな局面も描かれていて今後も楽しみ。

東京タラレバ娘(9) (Kissコミックス) ラララ 6巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス) 初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス)

完結が素晴らしかったのは東京タラレバ娘。過激にも見える描写やドラマ化で賛否両論常にあったけど、個人的にはこんなにいいラストはなかった。終わりのいい作品は一生持っていたくなる。自分本位になりそうになったとき、また読み返したい。
個人的に今最も「ときめく」大人の恋愛ものは金田一蓮十郎さんの『ラララ』。なんの気持ちもないのに婚姻届にサインをしてしまって、そこから同居を始め……という妙な始まりかたのカップルが、ロジカルにお互いの存在を大事にして行く話で、このロジカルさがなんとも心地いい。わたしの理想はこれだ! といつも思う。最新6巻がとても良くて読んでいた飛行機でつい泣きそうになってしまった。
持田あきさんの『初めて恋をした日に読む話』もときめきと元気が出る作品。優等生だったけど受験に失敗した主人公が、そのまま腐ってやる気のない塾講師になって過ごしていて、そこへ不良少年がやってくる話。進路とか頑張ることとかに後悔を持ってる主人公が、彼のことを絶対に面倒見る! と決める様子が、お仕事もの的な側面としてもかっこいい。受験のこととか共感できるところも多いので優等生だった女子には刺さると思う。

ふしぎの国の有栖川さん 1 (マーガレットコミックス) ふつうの恋子ちゃん 5 (マーガレットコミックス)

高校生主人公の正統派少女漫画ではこのふたつが去年挙げた『素敵な彼氏』と並んで好き。可愛すぎる!! 男の子も可愛いんだけど女の子も可愛い。絵も綺麗でおすすめ。『ふしぎの国の有栖川さん』は天然な和風お嬢様がだんだん恋して行く様子なのだけど、男の子ものんびりで余裕があってかっこいい。逆に『ふつうの恋子ちゃん』はかっこよくて人気者の男子剣くんも意外と余裕がないところを見せるのが魅力的。
アラサーものと違って少女漫画は「こんな子いたら好きになっちゃうよ!!」と思えるところがいい。年齢が上がってくると魅力だけじゃなく苦味が出てきてしまうから、少女漫画はやっぱり癒し。

個性的な世界観でふしぎな存在感のある作品

マグメル深海水族館 1 (BUNCH COMICS) 北北西に曇と往け 1巻 (HARTA COMIX) 真昼のポルボロン(1) (BE・LOVEコミックス)

業界的にも注目されている『ランウェイ』とかと違って、ひっそり始まって、一部の人が話題にしているという印象の作品でもたくさんいいのがあった。その中でも心に残ったのが3つ。ここを選ぶのが大変だった……。

『マグメル深海水族館』は個人的には外せない作品。深海に水族館が建設されて、ガラス張りの空間の中から、実際の深海を覗き見るという話。ダイオウイカや深海魚たちをおびき寄せたりする。深海大好きなので、ドキドキが止まらなかった。もっと見たい。
『北北西に曇と往け』アイスランドが舞台。それだけで結構特殊だけれど、その土地の乾いた感じとか、町の人たちの距離感とか、時間の過ぎる速度が、言葉少なめなのにくっきりと立体的に描かれていて、まるで魔法のようだなと思った。映像が見える。まだ1巻しか出ていないけど、主人公の弟に関する謎も見えてきて、この後も気になる展開。
『真昼のポルボロンは、9歳の少女「るつぼ」がある日ずっと一緒に暮らしていなかった父親の元に連れてこられる、という話。言葉を話さないるつぼは最初は父親を信頼しないのだけれど、少しずつその関係が変わっていく。妙に潤いのある作品で、どこかの町の匂い、お父さんや食べ物の匂いがする気がする。

5年に1度の殿堂入り

モブサイコ100(1) (裏少年サンデーコミックス) 

たまに、それこそ5年に1度くらいの頻度で、猛烈に、これは恋だなとしか言えないような、ものすごく好きな作品にであうのだけれど、久々のそれがモブサイコ100だった。好きすぎて感情の振れ幅がすごい。とっくに連載も刊行も始まっていたのに、アニメから入ったので知るのが遅くなった。登場人物たちにちゃんと哲学があるところ、それを設定が100%生かしているところ、言葉の使い方、その全てが完璧で読んでいるといつも泣きそうになる。何かフィクションを読むという行為に対して出会いたい感情の全てが詰まっているような作品だなと思う。モブくん大好き。全世界に胸を張って勧めたい。

 

そのほかで挙げたものにも触れる。本当は全部に投票したかったくらい、以下もおすすめ。

応天の門 8巻 (バンチコミックス) 百年のワルキューレ(1) (少年マガジンエッジコミックス) 

ここ数年最も応援している作品の一つ応天の門は変わらぬ面白さ。平安時代でここまで空気が肌に触れたようなリアルさになるのがすごい。道真がとてもかっこいいのでいつも本物の道真の肖像画をみると落ち込む。笑

『百年のワルキューレは設定もストーリーも絵のきれいさもキャラクターのかわいらしさも素晴らしかった。壮大なファンタジー設定だからもっと込み入った話にした長編も見たかったけど、すっきり2巻で終わって過不足ないきれいな形なのも好き。三月薫さん、次の作品も読みたい。

ダンス・ダンス・ダンスール(5) (ビッグコミックス) ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス) 

才能ぶつかる物語がどうしても好きな身としてはこの二つは外せない。今最も好きな連載中の漫画ベスト3に入れるのはダンス・ダンス・ダンスール』。面白すぎていつも読んでいると変なアドレナリンが出る。本をいつまでも閉じたくないし、閉じた後走り出したくなってしまう。ジョージ朝倉さんが描く才能ある人ってなんでこんなにきらきらしてるんだろうう。

『ブルーピリオド』は何に対しても大したやる気を出さずにそつなくこなしていた主人公が絵の面白さを知って美大受験を目指す話。来てしまったよ美術もの……。実際に美大生が描いたデッサンとかを使ってるのも面白い。自分にとっても「特別な何か」に出会った瞬間の鮮烈さがよかった。

波よ聞いてくれ(4) (アフタヌーンコミックス) あげくの果てのカノン 4 (ビッグコミックス) 

人間味豊かすぎて1回転してるような、画面から怨念を感じる2作。全くスピードが落ちずに面白い波よ聞いてくれはこれはもうホラーなの?って思うくらいの迫力。どこに向かっていくんだろうこの話。あげくの果てのカノンは、執念が度を超えていった先に見えるものと、諦めが底をついたときに見えるものが同時に描かれているのが薄ら寒い。

僕らはみんな河合荘(9) (ヤングキングコミックス)  違国日記(1) (FEEL COMICS swing)

これはもう別格のときめきなのが『僕らはみんな河合荘』。どの少女漫画よりときめきがすごすぎて心臓が痛くなる。生きててよかった……って思うしあわせ。この9巻がすごすぎて、いろんな人がSNSで悲鳴をあげているのを見た。

ヤマシタトモコさん新作『違国日記』は、全く別の習慣や人格のふたりが、特別馴れ合うでも傷つけ合うでもなく、ただひっそりと一緒に生活するというスタートで、モノローグなんかで出てくる言葉がとてもいい。帯のコピーの「女王と子犬は2人暮らし。」が素敵で、これで一気に読みたくなった。

僕に花のメランコリー 4 (マーガレットコミックス) 素敵な彼氏 4 (マーガレットコミックス) これは愛じゃないので、よろしく 5 (マーガレットコミックス)

あとは好きな少女漫画たち。やっぱり少女漫画ジャンルは作品が入れ替わってもずっとそのときそのときで愛せるものがあって嬉しい。『僕に花のメランコリー』はりぼんとかを読んでた時代の自分にふっと触れられるような、甘くて美しい漫画。小森みっこさんの絵が綺麗すぎる。装飾もいっぱいあって好き。男子がかっこいい。

去年もあげた『素敵な彼氏』は巻が進んでも本当に面白い。付き合うか付き合わないか、好きになるかどうかみたいな極めて普遍的なことを描いてるのにここまで面白いのは逆にすごく新鮮で、河原さんのすごさにひたすらひれ伏している……。ヒーローの男の子が新しい感じでいい。笑い方とかに特徴がつけられてるのが好き。

『これは愛じゃないので、よろしく』は大好きな湯木のじんさん。絵柄だけでも好きで男子も女子もかわいいし、想いが通じた瞬間のじわっとした幸福みたいなものを描いているのがすごく好きで、次の作品も楽しみ。

きっと愛してしまうんだ。(4) (フラワーコミックスα) 君とワンダーランド 1 (マーガレットコミックス) KとKの未婚関係 (フラワーコミックス)

OLものではやっぱり一井かずみさん『きっと愛してしまうんだ。』がとてもいい。外では鉄壁の仮面をしているできる女子と人当たり良くモテる男子が同期同士で一緒に住むことになる話。こんなふうに生活できてたら重いプレゼンも嫌な上司も大丈夫になると思う。

『君とワンダーランド』は渡辺カナさんにファンタジーが合いすぎてびっくりした作品。まだ1巻だけど、今までの中で一番好きな気がする。この後が楽しみ。

中村ユキチさんは『取り急ぎ、同棲しませんか?』も楽しく読んでいるのだけれど、短篇集『KとKの未婚関係』がとても良くて、何度か読み返したくてkindleで入れ替えられずにいる。今の連載の方は明るめの恋愛ものでこれはこれで癒されるし大好きだけど、こういうちょっとひねった設定のものも長編で読みたいな。兄弟ものに弱い。

海月姫(17) (Kissコミックス) 

最後は海月姫。こんなに面白いものがあるならまだ生きてたい、と思わされた大好きだった作品がついに完結してしまった。これはまた別に感想を書くぞ。

 

俺マン、いつも結構読んでるつもりで挑むのに、ランキングを見ると全然知らない作品があるからすごい。日本の漫画の数すごいし面白いのもたくさんあってすごい。

全然追いつかないけど、2018年も楽しい漫画ライフを送ってまた俺マンに参加できますように!