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物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

『思い出のマーニー×種田陽平展』がすごく良かった

割引券をもらったので行ってきました、『思い出のマーニー×種田陽平展』。

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両国駅からすぐの江戸東京博物館にて。
駅前で夏祭りをやっていましたが、それ以外はまったり静かなところで、日曜の午後にも関わらず(お盆だったから?)館内もいい感じの空き具合でした。敷地に入る前には大きな幕が。

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この展示が、もう、めちゃくちゃ良かった。びっくりするくらい。
近年見た展示の中でも相当良かった。

 

まず、入り口で音声ガイドを借りることを超オススメします。

これがあると、杏奈役の高月彩良さんの語りと、映画の中の音声が一緒に聞けます。展示は基本的にあらすじ順に進む形になっていて、高月さんの語る映画のストーリーに聞き入りながら、自分も本のページをめくるみたいにその世界の中を歩ける。

最初に音声ガイドのボタンを押して、次の空間に足を踏み入れたときに湿地の風景が広がっていたときには鳥肌が立ちました。その空間に思わず立ち止まっていると、音楽と海辺の音と一緒に、湿地に夜が訪れる。
なんかもう、信じられない思いでした。こんなところにこんなものがあるなんて、っていう。ただ歩くだけでも綺麗だと思っただろうけど、ヘッドホンの音の効果はすごい。遮断される、包まれる。ひとりで行ったのもよかったです。人ごみではなくて好きなように歩けたし、誰の会話も聞くことなく、その中に入り込んで、入り江を歩く気持ちで。

その後にはマーニーのいる洋館にも足を踏み入れられるのですが、その入り口とかも、テーマパークみたい。ディズニーランドの作りこみのすごさを思わせるような、「そう見せるように作られたもの」じゃなくて「本物」にしか見えない建物。

 

立体物以外にも、セル画などの原画や、映画の中で杏奈が描いたスケッチなども展示されていて、それもひとつひとつが繊細で美しくて、すごく良かった。丁寧な作業なのが伝わってくるんです。絵画もたくさん並んでるとすーっと横目に歩いてしまったりするのに、ひとつひとつ立ち止まってゆったりと見ました。

湿地の奥にある洋館の絵では、米林監督のラフのあと、美術監督種田陽平さんの絵があって、そこでいきなり細かくなって、その次は西川洋一さんって方の色つきの絵が並んでいて。白黒の線画までは「設定」って感じが強くて、その基盤の大事さはもちろんなんですけど、色がついたら突然豊かさに包まれた気がして、驚いて目が離せなかった。
トップである監督だけじゃなくて、スタッフの皆さんがみんなすごいんだなあって、考えてみれば当たり前なのかもしれないんですが、ひとつひとつ飾ってある名前を見ながら歩いて、何人もすごいひとがいるんだなジブリには、って思っていました。どれも本当に美しくて。部屋の壁紙の注釈に、「展示のためにジブリの背景スタッフが描き下ろしました」ってことが書いてあって。え? って。
そのほかにも、杏奈が劇中で描いてたマーニーのスケッチの名前はさりげなく種田さんだったり。
ドアの引手の図案まである。
サイロの中なんて風まで吹いてるし、床が雨水で濡れたみたいにてらっとした加工をされてたりして。
どこまでやるの? って、静かに何度も驚かされてしまいました。ゆったりとした音楽に包まれながら。ありきたりだけれど、こだわることって本当にすごいと思ったし、ここまでこだわれるからプロなんだと思った。

 

最後の部屋では、思わず泣きそうになってしまいました。映画を見ながら、一番ひりっとしたところ。マーニーの叫び。

部屋の色合いも音声のタイミングもキャプションも装飾も、すべてが心地よくて夢の中にいるみたいでした。胸がいっぱいだ。映画の魅力が10倍くらいわかった。

あまりにもあまりにも美しくて素敵な空間だったから、これは図録を買って帰りたいなあ、って物販にも期待が高まる展示でした。5種類くらいのビジュアルブック類が並んでいるのだけれど、一番よさそうだと思ったのはこれ。あまりPOPになりすぎず、かといって味気なくもなく。

思い出のマーニー (ロマンアルバム)

思い出のマーニー (ロマンアルバム)

 

展示自体のことを覚えておけるのはこちら。立体で作られた部屋の写真なんかも載っています。

その場にあって初めて知って、ぜひ読みたいと思ったのはこれ。近いうちkindleで買って読む。 

以前に開催されたらしい『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』は存在も今回初めて知ったのがとても残念。こんなに素敵な世界だって知ってたらぜひ行きたかった。

というか種田陽平さんって、名前くらいしか認識していなかったけれど、Perfumeの最新曲のセット*1 も手がけているなんて…! どんどん調べるほどハマる予感がします。今まで知らなかったのが本当にもったいない……。ものすごく今更ですが、これからも種田さんのつくられるものを見ていきたい。遅かったけど出会えてよかった。

今回の展示は、9月15日まで。映画を見た人はぜひ行ってみてください。

 

[2014.8.30追記]

8月29日金曜日の夜、ギャラリートークに参加すべく再び行ってきました。
種田陽平さんご自身が会場を回りながら説明してくださるという贅沢なもの……!

ですが、人が押し寄せ押し寄せ、100人以上はお客さんがいて、後ろの方は種田さんが見えない状態。笑 でも、種田さんが「何人でも良いから来てほしい」って言ってくださっていたみたいで、なんども「ちょっと通りまーす」って言いながら前と後ろを行き来して説明してくださいました。その丁寧さとか喋り方の優しい感じとかにむしろぐっと惹かれました。こんな世界を生み出せるひとはどんなひとなんだろう? っていうのが一番知りたかったので、お会いできて嬉しかったです。

人がたくさんいすぎたので説明的にはたぶん間引かれてしまった部分もたくさんあって、贅沢言えるなら20名くらいでゆったり回って詳しく聞いてみたかった……!
前回ひとりで行ったときには気づかなかったのは、マーニーの部屋にある数多くの刺繍。なんか勝手にありものな気がしていたので、ここもここもって教えてくださってびっくりしました。トレーの下の布とかまで。
あとは、図面の部屋のディティール。へえー、図面まであるんだ、くらいにしか1回目では思わなかったのですが、言われて見てみたらその図面自体が古く見えるように日に焼けたような処理やセロテープのあとがつけてありました。

何度も「細かいところを見てください」って仰っていて、ひとつひとつの小さなこだわりが集まって厚みになるのを感じました。とても空気が良くて、居心地がよくて、あの空間と同じだなあと思ったら妙に嬉しかった。

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ガイドにサインもいただきました

ずっとここにいたいと思えるような空間。まだの方はぜひ。