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物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

はじめて地球ゴージャスに行ってきた - 『The Love Bugs』

岸谷五朗さんと寺脇康文さん主催する演劇ユニット「地球ゴージャス」の公演にはじめて足を運びました。赤坂ACTシアターにて。

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演目は『The Love Bugs』。私たちの世界のすぐ隣に存在する、昆虫の世界の物語。種族の代表たちが集まる1000年に一度の特別な夜に、事件は起きます。大騒ぎとなった祭典の最中、ひとつの恋が芽生えていて……というお話。

 

舞台は決して安くはないから、行くか行かないかギリギリまで迷ったのだけど、本当に行ってよかった。そんなに今の舞台事情を把握しているわけではないけれど、ここ数年で見た演劇(ワンピース歌舞伎を除く)の中では一番面白かったです。久々に、作り手の狙いとお客さんが離れていない丁寧な作品を見られて嬉しくなりました。 

台詞が聞こえないシーンが一度もなくて、スピーディーな小競り合い、掛け合いにもずっと安心していられて、笑えて、とっても楽しかった、というのが一番の印象。シリアスになりかけるシーンもあるのに、あっさり笑いが覆してくるところがすごく好印象でした。遠い席だったので表情までは見えないのに、身振り手振りと台詞だけでも、感情がまっすぐに飛んでくる演技で、出ている役者さんをまるっとみんな好きになりました。

各キャラクターが何の昆虫なのかを見せてくれる大きなメガネとか、種族の代表を決めるときのバトルで敗者の背景に×マークが映し出されたりとか、舞台上にあるステージの側面に映像が映し出されるとか、ちょっとした演出が工夫されていて、全然飽きがこなかったのもすごかった。演劇を見ているときってのめり込んでいるようでも意外と冷静で、無駄な動きがあったりするとちょっと脳が止まるような気がするのだけど、そういう隙間が全然なかった。

加えて、衣装やメイクも細部までこだわられていてビビッドで個性的で綺麗で、演技から演出まで全て血が通っている感じがすごく好きでした。

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ちょっと一瞬距離を感じたのは、後半いきなり主題が切り替わる感じがあったこと。前半は設定を見せる意味もあってか色々なキャラクターが登場して、歌って踊ってとにかく豪華で楽しい、カーニバル! みたいな印象が続いて、「虫の世界がこんなに賑やかで魅力的なものに描かれるのか、すごいし楽しいなあ」と思って終わるのに、いきなり後半始まってすぐに、戦争の話が入る。こういう話題になると突然台詞も「これが戦争なのね」「唯一の被爆国として」的な、示唆したいことや言いたいことを説明するようなものが増えて、ちょっともったいなく感じてしまいました。
もし戦争をテーマにするなら、人間の戦争や原爆を想起させるものをあくまでフィクションとして技巧的に描いてくれたら、「すごい!」ってなったような気がします。演劇のようなものでは特に、「考えろ!」ではなく、自然と考えてしまう状況に追い込まれたい。虫の世界に戦争のような事件が起きる、というたとえ話を敷いているのに、「日本が唯一の被爆国」みたいな直接的な言葉が出てきたので、そこがちょっとだけ残念でした。

ただ、このまま戦争の話になるのかな? と思いきや、そうじゃなかったところも驚き。この物語はあくまでも命と愛の物語で、最後は愛に向き合っていく形で終わりを迎えます。「愛」みたいなものは、大げさに言われると恥ずかしくなってしまうけど、全然歯が浮くような感じや気まずさがなかったのがすごかった。ひとえに城田優さんの演技力、という感じで、ちょっと驚きながら見ていました。大きく振舞うだけじゃなくて、小声でささやくような歌い方も混ぜられていて、その緩急に引き込まれっぱなしでした。めちゃくちゃ尊敬した。何度でも見たいです。

 

城田優さんだけじゃなく、みんなミュージカルの歌のレベルが高くてすっかり見入ってしまいました。迫力があって美しくて、とても素敵でした。一番惹かれたのは城田さんだったけど、大原櫻子ちゃんのまっすぐな歌もよかった。もともとこの公演に興味を持ったのは、岸谷さんが大原さんのことを「ものすごい吸収力で、音をたてて成長している。すごい女優になる。」って仰ったのをニュースで見たことがきっかけだったので、自分で見られて本当によかったです。


歌もダンスも衣装もゴージャス!地球ゴージャス『The Love Bugs』公開ゲネプロをチラッと見せ

 

地球ゴージャス、次の公演も見に行きたい。この『The Love Bugs』は東京で2/24まで、この後名古屋・福岡・大阪もあります。まだの人は是非。