物語のなかをぐるぐる廻る

すきなものをならべていく

2015年のたのしいアニメたち

アニメってなんてたのしいんでしょう。ちゃんと見ている人からしたら数は全然多くないけれど、2015年もいくつか名作に出会ってたのしい日々を過ごしました。

ドラマを見るときと違って、アニメは明るい気持ちになれることが多いからいいな。30分でさくっとたのしい!っていうのがいい。ドラマも30分にしてくれたらもっと気楽に見られるのに。

さて、そんな2015年に見た8作品。
Amazonの商品画像引用だと大きな絵を載せられてよりわかりやすく紹介できて嬉しい……)

 

四月は君の嘘

四月は君の嘘 1 [レンタル落ち]

2014年から引き続いて2クール。これは確実に近年見た中でも名作でした。母を亡くしてピアノから遠ざかっていた天才ピアニストの少年がきらきらしたバイオリニストの少女と出会う話。原作も素晴らしいけど、クラシックに明るくない人からしたら「まあこんな曲かな?」って脳内で飛ばしてしまうところが、しっかりと音で聞こえる幸福。
絵もずーーっと崩れることなく綺麗で美しくて、変な改変もなく原作に忠実で、すごくよかったです。DVDや作中の音楽のCDのジャケット見るだけで、透明感ある絵に切なくなります。
このあたりとか!(↓)

四月は君の嘘 ORIGINAL SONG & SOUNDTRACK 四月は君の嘘 トゥインクル リトルスター

この左側のサウンドトラックのシーンは作中でもかなり印象に残ってます。本当に美しくて。いつもはアニメはあまり家族に勧めないけど、これは誰にでも見てほしい作品で、母親に今度録画を持っていくねって約束しました。まだの人はぜひ。

 

暗殺教室

暗殺教室8 (初回生産限定版) [DVD]

単巻100万部に初期で届いたりと、原作も近年のジャンプの中ではかなり話題になった作品。マッハで動き、地球を爆破すると宣言しているタコ型の変な生物が先生としてやってくる物語。最初の小さなエピソード(修学旅行に行ったり転校生が来たり)はわりとテンション一定に見てたのが、13話の「才能の時間」あたりから一気に面白くなって、1期最後の島に行く話なんかはずっとワクワクして見てました。おとなしそうに見える主人公の渚が暗殺者として覚醒していくところが気になる。また2016年、2期やってるので続きが楽しみ。

 

俺物語!!

アニメ「俺物語!!」 オリジナル・サウンドトラック

ゴリラみたいな見た目だけど、まっすぐで純粋で真摯な剛男が電車の中で助けた女の子・大和に恋をして……という、言わずと知れた大人気コミックのアニメ化。最近見た恋愛系少女漫画のアニメでは一番良かった!! アオハライドよりもオオカミ少女よりも個人的にはこの作品が好きでした。とにかく絵が綺麗だし声もめちゃくちゃマッチしているしテンポもいいしで高クオリティで原作ファンとしてもすごく嬉しかったです。砂川くん、原作では別に特別好きとかかっこいいとか思わなかったのですが、島崎信長さんの声が入ったらかっこよくてびっくりしました。

かなり原作の最新のところまで追いつく感じでやっていたので、すぐには続きってわけにいかないだろうけど、ぜひ最後まで見てみたかった……!

 

響け!ユーフォニアム

響け!ユーフォニアム 1 [Blu-ray]

高校の吹奏楽部で全国大会を目指す話。でも、全員が同じ熱、同じうまさで向かっていけるわけじゃない、というところで物語が動いていきます。小さな人間関係とかにすごく左右される部活ならではの感じがちょっとほろ苦いです。

前半はのんびり見ていたのに、後半、8話からいきなりぐいっと面白くなってびっくりしました。なんだあの引力……。なんでかずっと気になってしまう女の子、高坂さんの存在感があまりにもいいです。ずっと忘れられない、不思議で魅力的な空気を発する、白いワンピースの女の子。彼女に惹かれて主人公のくみこが「特別になりたい」と思うようになって、才能と努力にぶつかっていくところがめちゃくちゃびりびり響いてしばらくぐるぐる考えてしまいました。

叫びだすほど悔しいこと、それだけ悔しく思えるほど頑張ったこと、自分にはあまりなくて、すごくうらやましい。何事にも才能と努力が必要だけど、音楽は音感とかリズム感とか、神様からの授かりものが多い気がする。合唱をやっていたときを思い出してひりひりしました。こうやって自分の記憶に触ってくる作品は本当にいい作品だと思う。

続編決定してるので楽しみ。

 

赤髪の白雪姫

赤髪の白雪姫 Vol.6 <初回生産限定版> [DVD]

現在連載中の少女漫画ではベスト10に入る好きな作品。ようやくアニメ化! 赤い髪を持つ白雪が、隣の国の王子・ゼンとその仲間と出会って自分の足で運命を掴んでいく王宮ファンタジー。原作だと丁寧でもう少し進みのゆっくりな印象でしたが、アニメはするっとまろやかにテンポよくなっていてすごく見やすかったです。声もみんなぴったりだった……! 原作でも好きなオビが好きです。身軽に動くのかっこいい。

ただ、アニメが好きな人にはぜひ原作を読んでほしい! 個人的には原作絵のほうが、とくに目の描き方や線のタッチが好きなので……!(↓以下!)

絆にのせて CD(1枚組)  (TVアニメ「赤髪の白雪姫」エンディングテーマ) 赤髪の白雪姫 16 ドラマCD付限定版 (花とゆめコミックス)

2期やってるのでこちらも楽しみ。

 

すべてがFになる THE PERFECT INSIDER

すべてがFになる THE PERFECT INSIDER Complete BOX (完全生産限定版) [DVD]

森博嗣さん原作の言わずと知れた人気作、初のアニメ化。原作は未読で見ました。天才が作った強固なセキュリティで囲まれた密室で起きた殺人事件を辿るミステリー。

浅野いにおさんキャラクターデザインですごく全体的にノイタミナっぽい、かっこいいつくりだった作品。なんとOPにPerfumeなどの映像を手がけている関和亮さんを起用したりと、細部のクリエイティブ感がすごかったです。OP『talking』もED『ナナヒツジ』も聞き心地が良くていつも楽しみでした。

talking

talking

ナナヒツジ

ナナヒツジ

ただ、内容としては、もしかしてこれは2時間ドラマとか映画×2で前後編とかでやったほうがどきどきして楽しめるかもしれない、という気がしました。お話の中盤でだいたいトリックが見えてしまうので、ミステリーとしてはそこが痛い。本ならそのとき最高潮が来たテンションのまま読み切れるけど、アニメで30分ずつに区切られていると、最後の3話分くらいはなんだかまったりしてしまった。

 

ワンパンマン

ワンパンマン 3 (特装限定版) [Blu-ray]

実は、録画とりためたものの、うーん時間ないし消しちゃおうかな、とか思っていたところに最終回でみんなが「すごい」ってツイートしていたので見ることにしました。そしたらすごく面白かった……!

どんな怪人でもワンパンで倒せるようになってしまったヒーローの話。すごく王道で丁寧な感じとすっごくテキトーな感じが同居していて、妙に癖になる。このゆるさ絶妙すぎてとても好きです。1話見ただけで主人公のサイタマのファンになったよ。あの表情とか「20文字にまとめろ」とか「OPPAI」って書いてあるTシャツとかすべてがいい……。ゆるいかと思えば戦闘シーンはかっこいいところもいい。特撮みたいに代わる代わる出てくる敵が変な個性ばっかり豊かで雑魚感しかないのもすごくいい。
アニメとしてはすごくいい感じにまとまっていたけど原作はまだ続いているみたいなので読みたい、と思ったらkindle化されてない!泣

ワンパンマン 01 (ジャンプコミックス)

ワンパンマン 01 (ジャンプコミックス)

 

 

おそ松さん

おそ松さん 第二松 [DVD]

2015年秋アニメ一番のダークホース……! 年内一番の話題作どころか、近年見渡してもまれに見る社会現象くらい言える作品でした。六つ子の兄弟が奇跡のようにバカばっかりやってるギャグアニメ、原作よりも成長して二十歳超えててニート童貞という設定で全力疾走。最初周りの腐女子のお姉さん方がわーって騒いでいるときは「なにこれ……?」って思ってたのですが、このデータを見て時流に乗ってみようと決意。

トップ独走しすぎだ!

わたしはBL脳は全然ないので見てみても今楽しまれているカップリングの発想にはならなかったけど、ギャグアニメとしてかなり面白かったし、リメイクがこんなに驚異的な面白さになるのか、ということがめちゃくちゃ感動でした。
一番好きなのは4話。この回だけ5回くらい見た。「松野家扶養家族選抜面接」最高すぎる……! いいなあわたしもニートになりたい。BL脳はないけど六つ子のかわいさはわかったので「チョロ松だったら養いたい」って言ったら「出た、養いたい!」って言われた。笑

OPとEDがめちゃくちゃ好き。2014年は月刊少女野崎君の「君じゃなきゃダメみたい」に死ぬほどハマったのが、今年は「はなまるぴっぴはよいこだけ」だった。このリズムと意味のわからない歌詞と若い女の子の声の掛け合わせが超いいです。共通項で言うとワンピースの「しょうちのすけ」とか妄想代理人の「夢の島思念公園」とかなんですけど誰かわかりませんか。

はなまるぴっぴはよいこだけ

はなまるぴっぴはよいこだけ

EDは制作秘話がtwitterで語られててそれがめちゃくちゃかっこよかった。全部まとめられてるのでファンだけじゃなくエンタメを作ってる人にも読んでほしい……! 聞くたびイヤミ役の鈴村健一さんの器用さに驚く曲。

SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~

SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~

まだ2016年も続くからこの先も楽しみ。

 

以上!

1月クールは11作品見てみようと思ってるものがあるから早くも2016年はたのしい予感。

後悔しないためにしてほしいこと - 『orange』

orange(3) (アクションコミックス(月刊アクション))

高野苺さんの『orange』全5巻。途中別冊マーガレット休載から月刊アクションへの移籍があったので、再スタートしたときは本当に嬉しかった、ずっと続きを楽しみにしていた作品になりました。

高野苺「orange」特設サイト |株式会社双葉社 アクションコミックス

 

高校2年生の春。菜穂は1通の手紙を受け取ります。差出人は、10年後の自分。
最初はいたずらかと思った菜穂ですが、寝坊や転校生の存在などを手紙が言い当てたことで、だんだんと信じるようになっていきます。そこに書かれていたのは、これからの約1年間の間に起きることと、「後悔しないためにしてほしいこと」。引っ込み思案でなかなか自分の気持ちを外に出せない菜穂は、10年後の自分の後悔を消すため、自分を変えて未来を変えようとします。
その後悔は、「翔を死なせてしまったこと」――。

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(1巻9ページ/2巻27ページ)

 

結末がこれほど重要な作品もないのでネタバレ含みます。
青春SFラブストーリー、というあおりにもある通り、「未来からくる手紙」というひとつの不思議なアイテムが、この物語の結末をいっそう予測不可能にしていて、最後までずっとどこか緊張しながら読んでいました。その手紙の存在の論理的な説明はされずに終わっていることにレビューなどでは賛否両論ありますが、個人的にはとても好きなラストでした。

手紙を送った26歳の菜穂たちは手紙が届いたことも知らないわけだから、どうやって届いたのか、本当に届いたのか、パラレルワールドは存在するのか、そういった「SF」としての整合性は特に重視する必要がなくて、実現したかどうかは問題にされてない作品に見えました。
言ってしまえば自己満足に近くて、「届いたら、翔を助けられるのに」と彼女たちが願い、「翔が別の世界で生き続けていることを思っている」ということだけが現実であり重要なことで、高校生パートはその「届いたら」の部分。

そこで描かれているのも、手紙の存在の不思議さよりも、どう頑張るのかや、諦めないことだったり素直になることだったり勇気を出すことで、そうやって少しずつ頑張ることが未来を変えていることを実感しながら菜穂たちは前に進んでいて、とてもとても救いのある、頑張ることに意味を感じさせてくれる、強いメッセージを含んだ作品でした。

 

菜穂はどちらかといえば奥手で、気持ちを飲み込んで常に相手を優先しているようなタイプですが、手紙に導かれて、少しずつ、言えなかった「ごめんね」や「ありがとう」を口に出したり、意思を行動に移したりしていきます。小さなことでも、自分の毎日や、相手の気持ちが変わる。一言で傷つけることもあれば、一言で元気づけることもできる。そのひとつひとつがすごく丁寧に描かれていて、それがとても好きでした。

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(1巻48ページ/82ページ)

作中で何気なく挿入された、菜穂が決意するときの優しい言葉が響きます。

翔はちゃんと ここにいる
声が聞ける 私の声も届く
大切にしたい 一秒 一瞬

(1巻183-184ページ)

その積み重ねで、 忘れられない瞬間や、最高の時間が生まれて、毎日はそうやって楽しくなっていく。印象的なコマ割りや登場人物の配置、表情で、本当にページが鮮やかに見えます。

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(2巻125ページ/126ページ)

何も手にしようとしなかった翔が、何かを欲しいと思うようになっていく。「どうでもいい」が「どうでもよくない」になっていくこと、大事なものがふえていくこと。ひとつひとつの小さな後悔を消すことで明るく笑顔でいられる未来を掴もうとする6人の1年間には、焦りも不安も喜びも安心も、すべての感情が詰まっています。

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(4巻74ページ/86ページ)

 

高野苺さんの絵は漫画の中のモノクロももちろんですがカラーが本当に好きすぎて!! とくに別冊マーガレットのものすごくかわいいデザインと一緒だとときめきがすごい。単行本派なので連載をあんまりキャッチしていなくて、一番左の8月号は店頭で見かけて検索したくらいのインパクトでした。今見てもかわいい……。

別冊 マーガレット 2012年 08月号 [雑誌] 別冊 マーガレット 2012年 04月号 [雑誌] 別冊 マーガレット 2012年 12月号 [雑誌]

デザインといえば、この作品は単行本の装丁も良くて、集英社時代の2巻分もものすごくかわいいです。こういうデザインのものあんまりなかったから売り場できらめいて見えました。しかも横につながっていくデザインだったから、これの続きが見られなかったのはちょっと残念……。

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でも、全面イラストに下タイトル、白帯の双葉社版も大人っぽくて好きです。

もちろんすべてkindleにもなっているし、実本単行本だとカバーめくった表紙にイラストが入っているのを見られるので、紙のほうもおすすめです。

orange : 1 (アクションコミックス)

orange : 1 (アクションコミックス)

 
orange(1) (アクションコミックス)

orange(1) (アクションコミックス)

 

双葉社版全5巻には、巻末に別作品『春色アストロノート』が1話ずつ載っているのも嬉しい。双子の女の子を取り巻く元気な話。

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高野苺さんは今前作の『夢見る太陽』も双葉社から再刊行されています。このカバーもおしゃれ。ぜひ。

夢みる太陽(1) (アクションコミックス)

夢みる太陽(1) (アクションコミックス)

 

 

俺マン2015を発表する

2012年から毎年、ネルヤさん主催の「俺マン」こと俺マンガ大賞に参加しています。選定基準も参加資格もなし、自分の独断と偏見でその年の個人的なベスト漫画を共有する企画です。

タイトルだけtwitter投稿してますが、せっかくブログがあるので2015年も漫画を振り返っておこうと思います。今年(もう去年だ)大好きだった作品たち。

どーん!

マイルール的にハッシュタグ含めて140字以内、ワンツイートでやりたいと思ってるので、最後3タイトルくらいでものすごく悩みました。今年読んだ漫画は全部で321冊。昨年306冊だったので上回りました!

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漫画ばっかり読んでる

せっかくなので選んだ15作品をちょっとご紹介。

傑作の空気感漂う初期作品

今年は昨年と違って少女漫画が減って青年漫画が増えた気がします。傑作揃い。在原業平菅原道真のふたりを描いた応天の門はここ最近読んだ歴史ものの中ではピカイチ! 今年間違いなく自分の中の1位の作品でした。実は2014年発売作品だけど、読めたのが今年だったので今年に。ぜひ女性に読んでほしい。営業担当したいくらい売れてほしい作品です。
今年の個人的2位は波よ聞いてくれこのマンガがすごい!2015でも上位でしたがほんとにおすすめです。勢いにぐいぐい引き込まれる。続刊楽しみ。
3つめは『少年ノート』も大好きだった鎌谷悠希さんの『しまなみ誰そ彼』。ゲイの男の子が身の回りの世界と出会っていく話。LGBTでもここまで繊細で染み入る作品は初めてかも。
4つ目は唯一の少女漫画、町田くんの世界。こんな作品が登場し得るのか、という嬉しい驚きに満ちた作品。なんだか一生手放せそうにない。大きな盛り上がりはないのかもしれないけど、こちらまで包まれたような気持ちになる。きっとこの作品はいろんな人を救うと思う。

応天の門 1巻 波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンコミックス) しまなみ誰そ彼(1) (ビッグコミックススペシャル) 町田くんの世界 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

盛り上がりがすごい継続作品

もう継続して連載されてる作品でどんどん面白くなるものが多くて嬉しかった年でもありました。10巻があまりにもすごすぎて感嘆の声が出たのはそれでも世界は美しい。キャラクター同士の関わりに時が流れているからこそ起きる感動。しばらく全身のざわつきが止まらなかったのを覚えています。こういう少女系王国ファンタジーはやっぱり白泉社作品はすごい。確実に名作。
ときめき度がぐいぐい上がって困るものも3作品。逃げるは恥だが役に立つも雇い主と働き手という関係で契約結婚した状態から関係が変化してきていて、頭と感情の両方がうわ〜!ってなる。後述するタラレバ娘に傷ついたアラサー女子にはこちらをぜひおすすめしたいです。
前から人気のあったライアー×ライアーは近刊が本当に面白い! 初期の方は変装して弟とつきあうってなにやってんねん! という感じが強かったのが、最近はめまぐるしく変化がおきてこっちまでどきどきしてしまいます。目が離せないってこういうことだ、って思う作品。
ラストゲームは昨年も挙げましたが、ヒロイン九条さんがますますかわいくなって釣られて世界一へなちょこなヒーロー柳くんもかわいくなっているので最高です。最初の方はこんなときめきが来ると思ってなかった……。一度読むの止まってた人にも再開をおすすめします。

それでも世界は美しい 10 (花とゆめコミックス) 逃げるは恥だが役に立つ(1) (Kissコミックス) ライアー×ライアー(7) (デザートコミックス) ラストゲーム 8 (花とゆめコミックス)

 

走り出した!ぱっと明るくなる少女漫画

最近始まった漫画で面白いものを紹介するよ!って書いた夏の記事にも挙げましたが、巻数が進んできても面白い4作を厳選。『星上くんはどうかしている』は上のカテゴリに入れてもいいくらい、進めば進むほど面白くなってきていてすごく先が楽しみ。倍速で出してほしいくらい今好きな作品です。アサダニッキさんの絵は一見淡白そうに見えて、見れば見るほど表情の厚みが見えてくるから不思議。なんとなく中毒性があります。
王道恋愛少女漫画『カンナとでっち』は大工さんという珍しい設定。基本コメディ部分が多くて同じところをぐるぐる回っているときもあるんだけど、なぜかめちゃくちゃ心が清らかになる読後感が爽やかな作品です。癒される……。
『ココロ・ボタン』の宇佐美真紀さんの最新作『夕暮れライト』は少し切ない優しいお話。宇佐美さんのほんわかした空気感がすごくマッチしていて、このあとの展開が楽しみです。こんな煌めいた日々を送ってみたい。
話題沸騰、この作品を「明るくなる」って書いたら怒る人もいるかもしれませんが(笑)、わたしの中では最高にパワフルで引きずり出されて元気が出る作品、東京タラレバ娘。最新4巻が最高。恋ができないなら仕事をしろ、女子たちよ!

星上くんはどうかしている(1) (デザートコミックス) カンナとでっち(1) (別冊フレンドコミックス) 夕暮れライト(1) (フラワーコミックス) 東京タラレバ娘(1) (Kissコミックス)

 

拍手を贈りたい、 素敵な完結作品

個人的にはスタートよりも完結が作品を決めると思っているので、今年の印象に残った完結作品を3つ。ひるなかの流星は近年の少女漫画の中でも一番好きな終わり方でした。2番手男子、咬ませ犬へのエール。番外編の巻まで含めておすすめ。
アニメにもなった四月は君の嘘は最後まで結末が見えない展開で、終わったとき本当に言葉にならなかった。これは漫画を普段読まない人にこそ勧めたい作品かも。
映画化された『orange』は、結末の「中身」というよりも雰囲気等も含めた繊細な意識の部分こそが問われた作品な気がしていて、個人的にはいいなぁと思える好きな終わりでした。明確であることがすべて正しいとは限らない。

ひるなかの流星 12 (マーガレットコミックス) 四月は君の嘘(11)<完> (講談社コミックス月刊マガジン) orange(5) (アクションコミックス(月刊アクション))

 

このほか迷ったのは、『午前0時、キスしに来てよ』や『ダメな私に恋してください』『4月の君、スピカ。』など。読みきれなかったものもあるし、まだまだ面白いものがあるという事実が一番元気になれますね。

ちなみに個人的にこれまでのものを並べると、

ひるなかの流星』はこのイベントに参加し始めてから完結まで毎回載せたタイトルになりました。

俺マンの集計結果発表は2016年1月10日。たぶんネルヤさんのtwitterアカウントで中継あるはず。楽しみです。

2016年もいっぱい読めますように!

2015から、2016へ。

2015年はどんな年だったかなー、と友人たちのfacebook投稿を眺めながら考えていたけれど、なんだかとても印象に残らない年になりました。

3月に会社が引っ越して、10ヶ月ほど。多くのお世話になった人が離れていって、仕事の状況はどんどん悪くなるばかり、辞めたさもどんどん増すばかりという、ため息つきたくなるような年だったような気がします。く、暗い……! 暗いことばかりもなんなので、2015年の出会いと変化を少しだけ。

 

  • 塾に通い始めた

一番大きかったのはこれです。仕事が全然面白くない中、仕事でちゃんと進歩している人もいるので、若干の焦りもあって編集塾に通い始めました。

塾ではとにかく厳しい課題がたくさんでて、課題提出の前2日くらいはへろへろしながら生活する日々だけど、とにかく、こんなに楽しい仕事がこの世にあったのかという感じで、本当に行ってよかった。きついですしんどいですって記事がたくさんあがっていてビビりまくっていたけど、きついともしんどいとも思わずにやれています。楽しい。

 

  • アンティグラビティに行ってみている

空中ヨガ、っていうのが一番伝わりやすいかもしれない。ハンモックを使っていろんな運動をするのだけれど、もともと体操みたいに身体を動かすのは好きだし、空中で逆さまになったりすると骨や内臓が正しい位置に戻って、整体を受けたあとみたいにすっきりするのが気持ちいいです。そんなに安いわけでもないし遠いのであんまり頻繁には行けてないけど、意外に楽しい。

 

2014年は旅行はそんなに行かなかったけど、2015年は旅行は3回も行きました。香港は美しさというよりは「生活」って感じで、わたしはどこまでも視覚的に美しいところに興味があることを痛感した感じでした。
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北海道はとにかく美味しかった! そして小樽運河が船好きとしても楽しかった。
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アイスランドは氷河へ向かうバスの中で見た草原がすごく美しかった。また行くならもっと町じゃなくて自然に行って遊びたいな。
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  • 新卒を受け直してみた

転職活動だとあまりにチャンスが少ない業界なので、年齢的に受けられる3社分、新卒に応募してみた。でも、どこに行っても「なんでもう業界にいるのに」「なにが不満なの」っていうのをちょっと意地悪に言われてすごく苦い気持ちになりました。いいじゃないか、会社が大きければ不満がないなんてそんなわけないだろ。転職活動は2016年も続けるけど、そろそろ終わりにしたいなあ。

 

  • ものづくり

小さいものばかりですがちょこちょこ作ったものが楽しかった。
イカーズ・ベースに初めて行ってスカートにシルクスクリーンしたり。

f:id:le_beaujapon:20160101194911j:plain https://www.instagram.com/p/901tLfuTvH/

刺繍カフェで刺繍したり。こういうどこかの場所に行って手を動かすのってレジャー感があって楽しかった。あとは結婚式のお誘いには昨年に続き絵を描いてました。こういうことだけでかなり癒される。その代わりにネイルは全然しなかった年だった気がします……。2016年はできたら金属に触れたいな。

https://www.instagram.com/p/zZAzZhOTpF/ https://www.instagram.com/p/ze-FkhuTrP/ https://www.instagram.com/p/7o1GHcuThV/

 

2015年は、KAT-TUN福山雅治、セロ、LIBERA、流れ星とマツモトクラブを新規で見に行って、そのたった1回でKAT-TUNが好きになりました。ジャニーズは、かっこいいと思うことはあってもハマることはなかったので自分の中ではかなり新しい。残業中ひたすら映像を横で流しながらイヤホンで音だけ聞いてました。CDよりもライブ音源のほうが好き。ファーストクラスで見てから興味があった中丸くんが好きです。

新規以外だと、変わらずPerfumeメジャー10周年武道館も行ったし、チャットモンチーは2回も行きました。求愛ツアーもよかったけど、10周年武道館も良かった。関取花ちゃんとスキマスイッチと嵐も行きました。満足。2016年もまだまだショービジネスにお金を落とすぞー。 

ショービジネスといえば、2015年一番わくわくしたのはワンピース歌舞伎でした。大阪か博多にも行きたいな。

 

ずっと好きだったフィギュアだけど、初めてチーム対抗以外の本格的な試合を見に行きました。ブランケット握りしめて長野までバスに乗って。この1日だけでめちゃくちゃお金使ったけど、真央ちゃんも李子君も見られて、結弦くんが自分のソチの世界最高記録を塗り替えた日で、見ていて本当に美しくて、最高な1日でした。かつてこんなに有意義な有休はなかった。直後の興奮ツイート。

 

このほか映画もたくさん(漫画関連ばかりだけど)見たし、やっぱり元気にさせてくれるのはいつもショーかフィクションで、やっぱりその生活はこれからも変わらないだろうし、その点ではある意味天職に一番近い位置にいることはいるので、今年は遊びだけじゃなくて仕事も向きが変わるといいなあ。

 

2015年、実は目標的なものを作ってた。

  • きものを着る →浴衣は着たけどきものはまだ。
  • ゴスペルかなにかを歌う →できてない。やりたいなあ
  • 旅行に行く →行けた◎
  • 船の免許を取る →まだ
  • 料理をふたたび →かなりさぼった
  • 新しく行ったことない人のステージを見る →◎

2016年は、

  • 仕事をいい加減どうにか変化させる
  • 痩せる!(……)
  • 旅行に行く
  • 新しい料理を10こ増やす
  • 新しく行ったことのない人のステージを見る
  • 文章を書く

にするとします。

いい年になりますように!

彼女たちは美しい/『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を見た

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映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』特設サイト

 

ドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を見てきた。もうほとんどの映画館が公開終了した後で、人のまばらなヒューマントラストシネマ渋谷にて。

作中に出てきたOK GoのセリフがPerfumeというものの全てを的確に表していたと思う。

はじめはポップスだと思っていても、すぐに彼女たちの音楽はアートだと分かる。
Perfumeは芸術なんだ。

芸術、なんて言ったらお高くとまっていると思われるかもしれない。つい先日もアイドル好きの友人が 「私が好きなこの人たちは特別、ほかのグループとは違う」ってファンが思っているのが嫌い、と言っていて、なるほどそう思われるのも仕方がないのかもしれない、と思ったばかりだった。他と比べてどうだという気は全くないけれど、確かにわたしもPerfumeのことをすごいと思ってるし、特別だと思っている。

この映画を見ながら、わたしのなかのカテゴリはやっぱり「アイドル」とはちょっと違って、むしろ羽生結弦さんを見ているときの気持ちに近いな、と思った。羽生結弦さんの演技が美しいように、練りに練られた漫才が美しいように、優れた小説に連ねられた文章が美しいように、彼女たちは美しい。その美しさの裏には真面目な努力があって、それはとても地道で、ひたむきで、それから、挑戦し続けている。だからわたしたちは、「次は何が見られるんだろう」と思って期待して彼女たちを見つめるし、あ〜ちゃんの言葉は「まだまだやりたいことがあるし、見せたい景色もあるし、うちらが見たい景色もあるから」になるんだと思う。

 

台湾で終演後にお客さんがみんなでHold your handを熱唱していたシーンや、寒いのに朝や前日から並んでいるお客さん、「待ってたの!」という興奮したインタビューのシーンなんかに、最初はめちゃくちゃ感動した。きっとこれは3人は嬉しかっただろうな、ということをずっと想像してしまって、こっちまで嬉しくなる。長蛇の列の早送りのシーンは、スタッフさんはわたしたちより3人に見せたかったんじゃないかと思った。喜ばせたい、はしゃいでほしい、そう思わせてくるチャーミングさ、一生懸命さが確実にPerfumeの魅力のひとつで、応援するような気持ちで見ていた――中に、ガツンと衝撃を受けた場面がひとつあって、それがわたしの中で最も印象に残ったシーンになった。

一番緊張感のあったLA公演。映像からでも伝わるあまりにも大きな熱気に、メンバーは終演後の楽屋でも興奮冷めやらぬ感じで、そんななかであ〜ちゃんが本当にさらっと言った言葉が、「日本よりアツいよ!」だった。これにはびっくりして、一気に脳内がシャキッとした。だってわたしのイメージの中では、2013年の年末のドームツアー、3人は涙を浮かべながら「日本がホームです」と言ってて、具体的に辛いとかそういう言葉はなかったけれど、あぁ挑戦は大変だししんどいこともあるんだな、と思ったのがとても印象的だったから。

そのとき日本のファンの中には、世界に行っちゃって寂しい人も少なからずいたはずで、「だよね!」「Perfumeは日本でのライブを大事にしてくれるから大丈夫」って一同ほっとした、みたいな部分があった気がして、それが、これはひっくり返るかもしれないぞ、その可能性は十分あるんだ、と一瞬で理解することになった。これで3人が日本をないがしろにするという意味ではなくて、きっと日本のことを3人は変わらずホームだと思ってくれるだろうけど、「やっぱりアメリカのほうが盛り上がるよね!」っていう感想がベースになってくる日が来てもおかしくないんだ、と思った。

別に全てのプロジェクトが海外進出=進歩というわけではないだろうけど、より多くの人に見てもらう、好きになってもらう、と思うとどうしても対象の人口が増えていく。文化も言語も違う人に通じるということは母国で好きになってもらう以上のハードルがあるのは確実で、それはより「すごいこと」になっていく。さらに、専門家や評価の土壌自体も海外のほうが豊かなことも多かったりする。スポーツ選手が拠点を移すように。強力なスタッフが加わってプロジェクトとして成長し続けているのという面もPerfumeにはあって、こうなってくると、 「認められる」こと(最新技術や衣装や演出)は海外でお披露目、日本はバラエティ色強めに楽しく、でもよくなってくるのかもしれない。先日行われた「LIVE 3:5:6:9」はもちろんめちゃくちゃ楽しくて幸せな時間だったけど、サイコロで曲を選ぶという演出で、ホームだからこそ、MCたくさんできるからこそ生きるもので、バラエティ色強めだな〜! と思ったことを思い出した。

3人は間違いなくプロだ。過去のツアーでは戸惑いもしんどさも感じられた「海外」を、強い意志で楽しんでいるように見えた。MCのシーンで初めて、映画のタイトル「WE ARE」が「3人合わせて〜」に当てはめて使われていることに気づいた。日本では可愛い身近に感じられる自己紹介が、めちゃくちゃかっこよくなっていた。
Perfumeはこれからどうなっていくんだろう。あ〜ちゃんが打ち上げのスピーチで言った次の目標は、おどけながらも18,200人を収容するマディソン・スクエア・ガーデンで、きっとこれもいつか達成されるんだろうと思う。ファンとして、Perfumeを大好きなひとりとして、すっごく、すっごく嬉しい。けれど、日本がもうあまり目標にはなりえないのだとしたら、それもすこし寂しい。なんというか、もちろん人口が限られているから仕方がないものの、日本っていう場所が持っている力が足りないように思えて。帰ってくる場所もいいけれど、成長したらこれがしたい! という場所になれるくらいの何かを持っていたいものだなあ、と思った。そうじゃないと、いい仕事はどんどん外に出て行ってしまう。

仕事として、プロジェクト『Perfume』を尊敬している。あれだけの高レベルで美しいものを作る仕事が死ぬほど羨ましくて、高校生くらいに戻ってやり直せるなら真面目にプログラミングや芸術を勉強して死ぬ気で辿ったのに、と思っていたけれど、それは勘違いだったことが今回わかった。もちろん後からタッグを組んだ人もいるだろうけど、「スタッフさん」の大半は、もうずっと、10年も15年も一緒にやってきた、家族みたいなメンバー。すごい人を集めたんじゃなくて、みんなですごくなったんだと思ったら、こんなにかっこいい仕事はないなと思った。すごいところに入ろうとするんじゃなくて、すごいものを作ろうとするんだなって思ったら、ますます彼女たちみたいな仕事がしてみたくなった。のっちが、「音楽も振り付けも素晴らしいけど、それをわたしが踊っているからかっこいいんだぞと思われたい」と言っていたのがとても印象的だった。そんな風に語る人を前によくならないわけがない。

 

Perfumeは、これからどうなっていくんだろう。あ〜ちゃんが最後に語った目標の二つ目は「結婚」だった。あ〜ちゃんは過去も度々「結婚できるんかな」等の発言をしていて、それがただのおちゃめなジョークではないことがわかる。プロジェクトとしてのPerfumeが大きくなっていくのを見ると、ちょっとだけ不安になる。大人数グループとは違って、誰がひとりが産休になれば、その間はほとんど活動停止になるだろう。彼女たちはめちゃくちゃ輝いているスターだけど、27歳の女性で、きっとこの先、いろんな幸せがある。おばあちゃんになってもテクノポップもかっこいいかもしれないし、母親になったりもするかもしれない。あ〜ちゃんは「求められる限り応えたい」と言い、ゆかちゃんは「やる前は辛くても、やってよかった、次もって思ってくれる気持ちが嬉しい」と言った。そんな風に真面目に突き進む彼女たちに、いつでも、一番幸せな道を選んでほしい。3人が幸せじゃないと、意味がないのだ。わたしはまだまだ彼女たちに会いたいけれど、やっぱりそれは、笑顔で幸せなところが一番いい。これからのPerfumeの活躍に期待しつつ、3人の幸せを祈りつつ、まだまだ楽しみたい。


WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT 予告篇

 

主題歌がとてもすき。今のPerfume


[MV] Perfume 「STAR TRAIN」

STAR TRAIN

STAR TRAIN

 

 

今回の映画はまだ商品化してないけど、ツアー自体の映像はこちら。

  

2015年のライブ、「LIVE 3:5:6:9」はそろそろDVD発売だからうれしい。

いつも思うんだけど通常盤の方がパッケージがいい。初回盤買うけど……買うけど……。

 

ほかにも、10周年・15周年イヤーということで、ファンにとってはごほうびたくさんな2015年でした。「LIVE 3:5:6:9」と同時期に開催されていたPerfume展の後半ではメンバーが近寄ってきて至近距離で話しかけてもらえる疑似体験ができてときめきすぎて卒倒するかと思った。

あと、何と言ってもこれ!!

TV Bros.連載『たちまち、語リンピックせん?』が一冊になった書籍、ぶあつくてたっぷり8年分が、すてきなレイアウトでまとめられていて写真も満載でほんとにおすすめ。

2016年もPerfumeの3人が元気に過ごせますように。

言語的、非言語的アプローチで交通機関での環境づくりのアイデアを考えよ

つまらなくしてしまった、という感想が残ったのは初めてだった。誤解されそうだけど、講義が面白くないという意味ではなくて、なんというか、その時間を面白くするところまでに到達するアイデアを出せなかったな、という感想になった。

12月8日、課題は以下。

【課題】

2020年の東京オリンピックに向けても向けなくても、今年だけで訪日外国人の数が1500万人に達しようとしています。英会話が苦手な日本にやってくる外国人が空港や駅、タクシーなどの交通機関で滞りなくスムースに利用できる環境づくりは急務です。
1964年の東京オリンピックではそんな日本人のためにピクトグラムが開発されて以降、世界的にその価値が高まったとも言われています。
日本にあるいずれかの交通機関での環境づくりのアイデアを、言語的、非言語的のいずれかのアプローチで考えて発表してください。
 
交通機関は、飛行機、船、電車、駅、自動車、タクシー、高速道路、自動運転、次世代交通システムなど、すべてが対象で良いかと思います。
ちなみにPARTYが手がけた成田空港第3ターミナルのデザインは、わかりやすいサイン導線として、非言語的なアプローチとして陸上トラックを導入しました。

 

始まって以来初めての4人受賞となって、ということは、平たく言えば、抜きん出たアイデアがなかったということだと思うし、そのことは講義の最後にゲストの伊藤さんがおっしゃったアイデアが証明していたように見えた。

受賞アイデアの核は「英語がしゃべれる人がサインとなるものを身につける」で、一人一人、バッジだったりリストバンドだったり位置情報がわかるチップ入りだったり色々アウトプットは違ったものの、最後に伊藤さんが「バッジやリストバンドじゃなく、僕だったら提携してファッションになるようなものにするとかかな」と仰った瞬間それが優勝だった。

核は同じでも、誰か一人でもそのくらいアウトプットを飛躍させている人がいれば、文句無しの1名優勝だったんだろうなと思うと、まぁ別に1人で勝たなきゃいけないっていう決まりはないものの、目指すのはそこだし、そのくらい場に刺激を与えるものを生み出さないとなあと思った。あまり貢献できなかったな、という結果。

 

自分のアイデアに関しては、「ビジュアルから想像しなかった?」と言われて驚いた。

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もちろん似てるという面もあるからこそ成り立っているんだけど、最初は、とにかく正確に数えながら、かつ移動を楽しむ、というところで、スタンプラリーとか、そういうものを想像して、いやでも面倒すぎるしコストもかかるしだいたい早く移動したい人はスタンプラリーとかしないわけだし、でも正確に移動している地点をなぞっていく楽しい方法なかな、と考えたところからだったから。ビジュアルが強すぎてそこからのジャストアイデア的なものに見えたのは悔しかった。

「癖かもしれないけど前段と結論に乖離があることが多いから」って言われて、えー!それこの9ヶ月で初めて言われた! と思ったけど、もしかして発表すらできてない回とかも含めるとそうなのかもしれない。

 

これで年内の課題回は終了した。

一気に最終回までの予定が発表されて、課題が5回連続で卒倒しそうになった。年末なるべく早く課題を知りたい……!

しかも、今後は出版関係の課題がないことがわかって、目の前がちょっと暗くなった。わたしは明らかに広告系よりも出版系のほうが得意だと思うし、後期まだ優勝できてないから狙えるところで狙おうと思ってたのに……!まじで……! というのが正直な気持ちだ。くだらないかもしれないけど、後期生の前で「あの人ときどき出てくるけど当たらないね」って人にはなりたくない。笑 しかもあこがれのライゾマの回があった。頑張らねば……!

とりあえず年末は松浦弥太郎さんの本を読みます。

ステージにあがることの煌めきと絶望のすべて/加藤シゲアキ『ピンクとグレー』

2016年1月9日からロードショー。NEWS加藤シゲアキさんの『ピンクとグレー』を読みました。何作も出されているから少し気になっていたのが、菅田将暉くんが出ると聞いて映画を観に行くことにして、その前に原作を知りたくなったので。

ピンクとグレー (角川文庫)

ピンクとグレー (角川文庫)

 

アイドルが書いた、というと様々な色目で見られてしまいそうだけど、その必要はない、本当に真っ当で、感情豊かで、驚きに満ちた作品だった。
優しくて気弱に見えるのに頑固で鋭い感性を持った「ごっち」こと真吾と、少しぶっきらぼうだけど頼れるところもある「りばちゃん」こと大貴。性格の違うふたりは惹かれあい、親友になった。ふたりで芸能活動をスタートするが、ごっちだけがスターの道を駆け上がっていき、ふたりは決裂してしまう。数年後のある夜再会するけれど、その翌日ごっちは首を吊り、僕・大貴はその第一発見者となった――。

すごいのは、この物語は、ただ単に親友が死んで悲しい、ということを描いたものではなかったことだと思う。前半は正直進みが遅くて、幼少期の出会いから学生時代の様々な小さなエピソードを意味もわからないまま読むことになるのだけれど、「ごっち」が死んだその瞬間から、すべてが渦を巻くように動き始める。丁寧すぎる表現がまどろっこしいと感じていた前半が突然生きてきて、ずっと本を持つ手を緊張させながら読んでいた。

映画のwebサイトのイントロダクションでは「現役アイドルが芸能界の嘘とリアルを描いた問題作は」と書かれているけれど、これは決して芸能界の嘘とリアルなんて小さな範囲の話ではなく、ステージにあがることの煌めきと絶望のすべて、そして、他人であるはずの愛する人に期待したり要求したりすることを描いた作品で、美しく生きることはステージとリンクし、愛することを前にしてステージは一層輝いていた。本当に誰かを愛したらこんな風になるんだろう、という姿を登場人物の誰もが持っていた。

ネタバレになってしまうので詳しくは書かないけれど、「切り替わった」その瞬間が身体に残るみたいに衝撃的で、なんども確認して感嘆してしまった。実にさりげないのに、確実に残る違和感と不安。ああ、これはもしや、と頭によぎりながらも、文字を目が追うのを止められない。「ごっち」の美しい生き方を辿りながら選ぶ、彼の美しい生き方を見届けないといけなくなる。そこからラストまでは本当に息も止めて読んでいたような気がした。

面白かった。なんだか、この本はいつか読み返す気がするし、加藤さんの他の作品も読んでみたい。

ピンクとグレー

ピンクとグレー

 
閃光スクランブル (角川文庫)
 
Burn.‐バーン‐ (単行本)

Burn.‐バーン‐ (単行本)

 
傘をもたない蟻たちは

傘をもたない蟻たちは