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すきなものをならべていく

「いい中学、いい高校、いい大学に行きなさい」の意味がやっとわかった

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周りでも悩む友人が後を絶たない問題が今日のわたしにも降ってきたので、立場が変わる前に書くことにしました。結婚適齢期の女子なら結構な割合の人が受けているであろう、親からの「まだ結婚しないの攻撃」について。

これです。

度合いや方法にはほんとに個人差があると思うので前提を少しだけ。
わたしは今25歳で働きはじめて4年目、長女です。小学校の高学年から塾に行き始めて、中学受験、高校受験、大学受験、就活とすべての試験を通って今に至ります。大事に育ててもらったと思うんですよ。でも、わたしが言いたいのは、だからこそ今納得がいっていない、ということで。

これなんです。

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photo by 京都写真

最初に七夕の短冊に書いたのは、幼稚園時代の「漫画家になりたい」でした。それがその後小説家になって、そのへんまではいわゆる「夢」としての将来像だったんですけど、「仕事」として初めて目指そうかと思ったのは「弁護士」だったと思います。その後、自分暗記だめだなーとかいろんな要素で弁護士は目指さなくなるんですけど、このときこの職業を思い描いていたのは、父親がとにかく「手に職、手に職」って繰り返していたからでした。「今はどんな大きな会社でもどうなるかわからないし、資格がないとだめだ」と毎日言われてました。そうか、と思ったわたしは医者には全然興味がなかったので、もうひとつのエリート街道かなと思えた弁護士をいいかもな、と思いました。

このときから分かるように、「勉強しなさい」の先にあるのは、家庭内でも明らかに「仕事」だったんです。わたしが女かどうかとかは関係なく、「働き口に困らないように」と説かれ、わたしも「働けなかったら生きていけない!」と思いました。弁護士こそ目指さなかったものの、わたしはそれなりにいい高校と大学を卒業して、自分で生きていけるような企業に就職しました。それまでの過程で「働き」かつ「やりたいこと」に出会って、必死で環境を勝ち取って。状況としては、親の言っていたことと自分の希望をいい感じにブレンドして両方叶えた、と思っているんです。

でも、社会に出てすぐに言われ始めたのは、「まだ結婚しないの?」でした。たまに冷やかし程度ではなくてその勢いがすごくて、「いい人がいるらしいんだけど会ってみない?」とお見合いをセッティングされかけたり、彼氏は結婚する気があるのかを問うてきたり、早めの出産がいかに子供にとっても自分にとってもいいかという話があったり。頭ではその気持ちもわかるのだけど、わたしの世代からすれば「えーーー!!!」と毎回驚いてしまうくらい斜め上なのです。

それで「ちょっと待って、わたしまだ結婚しないし子供もいいよ、だってまだまだ働きたいもん」と言うと、「そんなこと言ってるとあっという間に売れ残るよ!!」的な言葉が返ってくるのです。えええええ。だってあんなに仕事仕事って言ってたじゃない! いい中学、いい高校、いい大学に行け、置いていかれるな、稼げる仕事につけって言ったじゃない!!! この理不尽さたるや。でも、何度か母親と話しているうちにわかったことがありました。

 

母親と父親は向かっているゴールが違う

もうこれに尽きるのです。思えば「勉強しろ!」のメイン担当は父親で、母親はそれには同調。「結婚しないの?」のメイン担当は母親で、父親は「え? まあ、そうだな……。お前、仕事はどうなんだ」なのです。もうこれはかなり個人差あると思うんですが、少なくとも我が家はそうでした。もともと仕事のために勉強させたがっていたのは父親なのです。

でも、母親もそれに同調しています。成績は優秀なほうがいいし、いい企業に勤められたらすごいね、と思ってはいるから、特にそこに反対しません。「この子はお嫁に行ければいいのだから、勉強しなくていいんです」というところまでは思っていなくて、一生懸命育てようとすればするほど、「優秀に」っていうのは、ゴールなんてなくても目的になりえます。だからわたしは、「いい進学といい就職を」っていうのは親二人の目的だと思っていました。でも思い起こしてみると、当時の母親から「ちゃんと勉強しなさい」とは言われても、「じゃないといいところに就職できないよ」と言われたことはありませんでした。

母親のゴールは実は違うところにあるんだと思います。娘がいい大学、いい企業に行けば、当然品のある人、頭のいい人が集まっている確率が高いわけで、「いいお友達に囲まれて欲しい」の延長線上には、「素敵な出会いがあってほしい」も無意識に含まれているのです。

母は、毎日終電も深夜タクシー3時帰宅も当たり前だったわたしに何度も、「そんなに働いてどうするの」と言いました。わたしもそんな生活はできたらしたくないのだけれど、それは仕事の充実はキープした上での話で。でも、母の心配のあとには時々、「身体を壊すような仕事してないで、結婚したら」と続きました。「養うから専業主婦になっていいよ」なんていう男性のほうが今は少ないよ、というと、「じゃあパートとかでも」と返ってくる。母にとっては一番の幸せも今の心配も結婚と出産で、希望の仕事とかやりがいではまったくないことがわかりました。

「まだ仕事がしたい」と伝えると、母は「今の子は自分、自分だね」と言いました。自分のやりたいこと、自分の将来、って言う、と。でもわたしには、それの何がいけないのか全然わからないわけです。「勉強しなさい」は「自立しなさい」という意味だと思ってきたからです。

 

両親の言う「いい中学、いい高校、いい大学」

こうして考えていたら、両親の目指す「いい中学、いい高校、いい大学」のゴールは、父と母で違うように見えましたが、ふたりがまったくすれ違うことなくその方針を掲げてきたのは、実は根っこは同じだったからだと思います。要は、「不安のない、安定した、幸せな生活」のためで、その具体的な事項が、勉強し仕事をしてきた父と、結婚して子育てをしてきた母とで違ったという、もう本当に書いてしまえばそれだけの話で。

困るのは、子供を育てる上で、「幸せになってほしい」と思うことには間違いがないことも子供ながらに分かるわけで、両親の繰り返してきた教育が間違っていたわけではなくて、わたしは全部は従えないと思いながらも母の願いを叶えてあげたい気持ちもあって、早く安心させたいという気持ちも持ってはいて、だからこそ、この「まだ結婚しないの攻撃」がものすごくヘビーにのしかかってくるわけです。すべてを叶えられたらそうしたいよ! 結婚して母上を安心させて早めに出産して喜ばせてかつキャリアに対しても自分が後悔ないように向き合える両立方法があるならぜひ知りたい!

でもそれの実現って、夜の3時に帰宅する生活よりずっとスーパーマンにならないとできないじゃないですか。このモデルになるような登場人物が思いつかない。『東京タラレバ娘』にも『サプリ』にも『働きマン』にも『逃げるは恥だが役に立つ』にもいないように思うんです。あぁ、もしかして少女漫画界最強『彼氏彼女の事情』の雪野さん?と思ったらもうひれ伏すしかないというか。ドラマとかでもあんまり見ない気がする。恋も家族もキャリアもするっと手にしちゃう完璧女子。
それは無理だ、とどれかを選び取ろうとすると、対立が生まれてしまう。でも、ここであっさり仕事を捨てるのって、これまでの自分の努力が無に帰っていくような気がして。だいたい、いまどき仕事を捨てて結婚するわ!っていうのも難しいわけで。

幻の存在を目指すか、我が道を行くか、親孝行するか。形はひとつじゃないと思うけど、戦いはつづきます。

 

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